“宝塚の文豪”早花まこが見つめたOGのセカンドキャリア 十人十色の中にあふれるバイタリティー
――早花さんといえば、「歌劇」で連載されていた「組レポ。」の話題も避けて通れません。舞台上ではあんなにカッコいいトップスターさんの、お稽古場やオフタイムの珍エピソードを愛とユーモアあふれる筆致で綴られていました。
早花:毎月、苦しみでしたね。ネタや書くお話はあるのですが、書くのがすごく遅いので締め切りに毎月遅れまくりまして…。私の苦しみというより、編集部の担当さんの苦しみというか…。毎回苦しませていました(笑)。
――特に早霧せいなさん、望海風斗さんという早花さんと宝塚音楽学校で予科本科だったトップさんとのやりとりは毎月楽しみにしていました。
早花:大丈夫だったのかな…。どうなんだろう…(笑)。おふたりとも書いていいって許してくださって、本当に優しかったですよね。あんなに恥ずかしい話をどんどん毎月書かれても怒らない、むしろ「私、こんなことしてるんだね~」って読んで笑ってくださる。トップさんも、下級生の方も、ご本人も気付いていないことを勝手に書かれて、事後報告されることが多かったのに、皆さん器が大きかったです(笑)。
――文章を書かれるのは、昔からお得意だったんですか?
早花:得意ではなかったですけど、読んだり書いたりは子供のころから好きでした。文章を書くのはずっと続けられたらいいなと思ってます。小説などの創作もしてみたいですね。視野をなるべく広く持って、いろんなお仕事に挑戦したいなって思ってます。
宝塚にいたころにはあんまり思っていなかったのですが、私って“やや”打たれ強いんだなと最近思うようになりまして(笑)。在団中は根性もなく弱いなって自分では思っていたんですけど、知らず知らず鍛えられていたようで、文章に関してもどんどんダメ出ししていただきたいし、ダメなところを知りたいタイプ。そこは自分に甘えずにいきたいなって思っています。
ほかには演劇を好きな方や俳優さんと詩の朗読会をやることを細々と続けています。朗読をしたり、詩を読んだりすることも私なりに続けていきたいなと思います。
――早花さんの88期、最後の同期生となる光月るうさんが間もなく卒業されます。
早花:私は、光月さんの演技がとても好きだったので、それを宝塚の男役として見られなくなるっていう寂しさがあります。彼女は本当に男役さんとして表現しつつ、組長という立場で月組さんをまとめてきたのを本当に尊敬していたので、お疲れ様でしたという気持ちですね。
――“元タカラジェンヌ”の先輩として何かアドバイスはありますか?
早花:ないですよ~。むしろ、光月さんから教わりたいくらいですよ(笑)。
そうだなぁ…。私が卒業すると言った時に、あるOGの方が「退めた先輩として言えることは全然ないけど、ただ言えるのは、『退めてもけっこう楽しいよ』」って言ってくださったんです。退める前って自分に何ができるんだろう、何もできないんじゃないか、宝塚で培った友達とか親しい人を一回失っちゃうんじゃないかと、とても不安で寂しいんですけど、その言葉がすごく心の支えになったんですよね。
大変なことや戸惑うことももちろんたくさんあるけど、退めてみたらそこにはまた新しい楽しさもあったし、宝塚での思い出も消えるわけではなくて、ついてきてくれるので。伝えるとしたら、「退めてもけっこう楽しいよ」――その言葉を贈りたいかな。でも、光月さん普通に楽しそうだから、あんまり必要ないかも(笑)。遠くから見守り、ご無事の退団を祈っております。
(取材・文:編集部 写真:高野広美)
早花まこ著『すみれの花、また咲く頃 タカラジェンヌのセカンドキャリア』は新潮社より発売中。価格は1650円(税込)。
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