沢尻エリカ「正論ばかりでは疲れてしまう」 カオスな時代を生き抜くための“曖昧さ”の許容
実力派女優・沢尻エリカが、強い存在感を示す最新映画『#拡散』。本作で演じるのは、ワクチン禍で妻を亡くした男の嘆きに火を灯す新聞記者・福島美波役。真実と虚構、善意と悪意がSNSの荒波に飲み込まれていく現代社会を題材にした作品で、沢尻は何を捉え、表現者としてどう向き合ったのか――。あふれる情報に惑わされないための「生き方」の真髄を語った。
【写真】沢尻エリカ、美オーラ全開! 優しい笑顔でも魅了 インタビュー撮り下ろし(8枚)
■現場で見つけた「記者」の視点と、富山の地で感じた即興のエネルギー
沢尻エリカ
『#拡散』は、コロナ禍で巻き起こった「ワクチン」騒動を題材に、真偽不明な怪情報やフェイクニュースが世にあふれ、ネット上で瞬く間に拡散され、真実が覆い隠されていく、そんな現代社会のカオスな実像を、空恐ろしくなるほどのリアリティと圧巻のエネルギーで痛烈に描き切った、衝撃のヒューマンドラマ作品。
沢尻が対峙したのは「新聞記者」という、情報を発信する側の役どころ。これまで常に注目の的であり、報じられる側にいた彼女にとって、他者を観察し、事実を追い求める立場を演じることは、世界を眺める解像度を大きく変える経験となったようだ。
「『この題材を映画にするのか』という驚きが最初にありました。台本を読むと、誰もがどこかの立ち位置で共感できるポイントや、既視感を覚える出来事が散りばめられています。あえて特定の思想に寄ることなく、世界中が経験した困難を一つの物語として形にできたことは、非常に意義深いと感じています。記者を演じるにあたっては、これまでとは異なる視点で人を観察することを意識しました。好奇心がより強まり、『これは何だろう』という疑問から想像を膨らませていく。自分の中にはなかった新しい視点を持てたことは、大きな発見でした」。
物語の舞台となったのは、雄大な立山連峰を望む富山県。わずか2週間という極めてタイトなスケジュールの中で、沢尻は劇中の緊迫感とは裏腹に、ロケ地ならではの豊かな時間に身を浸していた。冬の富山が見せる一瞬の晴れ間、そして厳しい自然が織りなすコントラストが、スクリーンに映し出される物語に圧倒的な説得力を与えている。
「撮影は非常にスピーディーでしたが、現場はとても優秀で、テンポよく進んでいきました。何より、富山の景色が本当に美しくて。去年の11月頃、変わりやすい天候の中でも奇跡的に光が差し込み、抜けの良い景色の中で撮影できたことが強く印象に残っています。仕事が終われば、スタッフの皆さんと一緒にサウナへ行ったり、ご飯を食べたり。地元の空気を大満喫しました。美味しい食事に癒やされながら、その土地の力をもらって駆け抜けた日々でした」。

