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沢尻エリカ「正論ばかりでは疲れてしまう」 カオスな時代を生き抜くための“曖昧さ”の許容

エンタメ

■あふれる情報の海で、あえて選ぶ「現実」という名の拠り所


沢尻エリカ
 SNSによって誰もが発信者となり、真偽不明の情報が瞬時に拡散される現代。本作が描くテーマは、まさに今の人々が直面している危うさそのものである。情報の濁流に飲み込まれ、時に誤解や偏見にさらされることもある立場として、沢尻はどのように自分自身を保ち、世界と向き合っているのだろうか。

 「SNSやネットの情報は、どうしても感化されやすいものです。一つの意見を聞けば納得し、別の意見を聞けばそれも一理あると感じてしまう。でも、世の中には多様な考えがあって当然です。どれが正解でどれが正義かということよりも、お互いの意見を理解し、尊重することが大切なのだと思います。私自身、ネットはよく見ますし、事件のコメント欄から人々の機微に触れることも好きです。ただ、そこに依存しすぎない、信じすぎないという距離感は常に意識しています。疲れた時には、動物の動画など、たわいもないニュースを見て癒やされています(笑)」。

 「拡散」という暴力によって人生が狂わされる描写もある本作だが、沢尻の視線はどこまでも冷静だ。たとえ意図しない形で言葉が一人歩きしたとしても、それを拒絶するのではなく、一つの現象として受け入れる強さがそこにはある。

 「もし誤解や炎上が起きたとしても、世の中がそうなってしまったら、受け入れていくしかないと思うんです。厳しい意見であっても、何も言われないよりは、伝えてもらえることの方がありがたい。そこで自分の至らなさに気づけたのなら、それを糧にまた先へ進めばいいだけですから。今の世の中は白黒はっきりさせたがりますが、生きていく上ではもっと曖昧な、グレーな部分があっていい。特にコロナ禍では、日本人の良い面と悪い面がパニックの中で一気に出たように感じました。正論ばかりでは疲れてしまう、そんな社会の脆さを改めて実感しています」。

 インタビューの最後、沢尻が口にしたのは、デジタルなつながりを凌駕する「手触りのある現実」への信頼だった。どんなにテクノロジーが進化し、情報のスピードが加速しても、彼女の拠り所は常にシンプルで温かな場所にある。

 「結局のところ、私たちが生きているのは現実社会です。ネットの中だけが世界ではない。誰かに支えられ、いいことをしてもらったらお返しをする。そんな単純なつながりの中にこそ、本当の温かさがあると感じています。世の中の進歩が早すぎて、時々ついていけないと感じることもありますが、人間は一人では生きていけません。だからこそ、シンプルに、現実世界での人との触れ合いを一番に大事にしていきたい。それが、この複雑な時代を生き抜くための、私の拠り所なんです」。(取材・文:磯部正和 写真:高野広美)

 映画『#拡散』は、2月27日より全国公開。

映画『#拡散』ポスタービジュアル (C)2026 #VIRAL PRODUCTION COMMITTEE

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