沢尻エリカ「正論ばかりでは疲れてしまう」 カオスな時代を生き抜くための“曖昧さ”の許容
沢尻エリカ
劇中で共鳴し合う介護士・浅岡を演じた成田凌とは、今回が二度目の共演となる。以前から培ってきた信頼関係は、言葉を超えた芝居のやり取りを可能にした。俳優として円熟味を増した今の沢尻は、緻密に役を作り込むこれまでのスタイルから、現場の空気に反応する「瞬発力」を重視するスタイルへと、軽やかにシフトしている。
「成田さんには絶対的な信頼がありました。彼に引っ張ってもらった部分も大きかったです。お芝居について細かく話し合うことはありませんでしたが、彼は常にいい意味でこちらの予想を裏切ってくる。思わず笑いを堪えてしまうような絶妙な表情を見せることもあり、その表現の豊かさに圧倒されていました。今回は、あまり作り込みすぎず、その瞬間のエネルギーを大事にするやり方を取り入れたんです。今まで経験したことのないアプローチでしたが、現場の空気感に身を委ねることで生まれる発見があり、自分にとって大きな収穫となりました」。
「天才」と称された沢尻の瞬発力は、経験を重ねることで、より「人間臭さ」を纏うようになった。正義感に燃える一方で、内側に「濁り」を抱えた記者の造形は、現場で監督と対話を重ねる中で、より身近な存在へと引き寄せられていった。
「監督からは、意識が高く、向上心の強い女性だと説明を受けていました。ただ、そこに人間なら誰しもが持っている偏屈さや、割り切れない思いを滲ませたいと考えたんです。現場の空気の中で役が作られていく感覚があり、当初の想定よりもずっと『人間臭い』人物になったと感じています。誰もが心の底に持っているであろうグレーな部分を描くことで、多くの人に共感してもらえるキャラクターになったのではないでしょうか。もっといろいろな表現のバリエーションを持って、自分の内側にはない価値観も出していけたらという、次への課題も見えてきました」。

