元宝塚宙組組長・寿つかさ、ノープランだった退団後 34年目の初主演オファーに驚き
――『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』の集合日に退団が発表されますと、退団がYahoo!トップニュースになるなど、SNSには驚きと悲しみの声があふれました。ファンとしては宙組にはずっと“すっしぃさん”がいてくださるものだと勝手に思い込んでいまして…。
寿:下級生や知り合いの方に聞いてびっくり! 皆さんも驚かれたと思いますが、私も驚きました(笑)。退団は、34年宝塚歌劇団で過ごしてきて、ひとつの区切りといいますか…。管理職だったこともあり、突然決めるわけにもいかず、少し前から準備をしていて、決めた感じです。
――宝塚人生を振り返ると、どんな34年でしたか?
寿:あっという間でしたね! 目の前のことを必死にやっていて、気づいたら34年経っていた感じでしょうか。「もうこれでいい!」とどこかで思っていたらもっと早く辞めていたかもしれませんし、ずっと挑戦し続けてきたから34年も続けられたのかなとも思います。
――組長歴は15年! 大変なお仕事の中、コロナ禍という試練もありました。
寿:そうですね。あの時は一番しんどい時期でしたね。組子のみんなは大丈夫かなという心配もありましたし、自粛期間中のメンタルもとても心配でした。でも、意外とみんな頼もしくて元気でいてくれて、本当に安心しました。逆にみんなから力をもらった感じがありましたね。
――そんな宝塚人生の中で、ターニングポイントだったなと思う作品を挙げるとすると、どの作品になるでしょう。
寿:…そうですね。私は、下級生時代、お芝居に苦手意識があったんです。ダンスなど体を使って表現することは大好きだったのですが、声は出ないしお芝居にはコンプレックスがあって。それが、雪組の下級生時代に、『忠臣蔵』や『この恋は雲の涯まで』の新人公演で、何かが開けたといいますか、上級生の皆さんの素晴らしいお芝居に触れることで大きく変わりましたね。
――シリアスな作品から『TOP HAT』のようなコメディーまで、どんな役どころも魅力的に演じられる寿さんがお芝居に苦手意識があったとは意外です。
寿:いえいえ。それは今でも続いてますね。毎回どうしたらいいのかな?と悩み考えながら、作品に取り組んでいます。
――今回の作品ではダンスシーンはないそうですが、また寿さんのキレッキレなダンスを拝見したいです。
寿:今回はないのですが、そう言っていただけるように、またしっかり鍛えないといけませんね!(笑)。
――ダンスや演技はもちろん、スカイステージでのトークやファッションなど、寿さんは「センスの塊!」という印象があります。組子の皆さんやファンの憧れの存在ですが、寿さんが日々の暮らしの中で大切にしていることは何かありますか?
寿:いろいろなことに興味を持つことですかね。それが一番大きいかな。きれいなお洋服を見たらすてきだな、着てみたいなと思ったり、自分の心がときめくことを大事にしていますね。
――ちなみに、今心ときめいているものはありますか?
寿:今ですか!? それがないんですよ~(笑)。卒業したばかりですし、これからいろんなものを吸収して、心ときめかせていきたいですね。
――では最後に、今回の作品を楽しみにしているファンの皆さんへメッセージをお願いいたします。
寿:カイちゃんこと、七海ひろき初プロデュース作品。皆さんに楽しんでいただける作品になるよう、出演者一同稽古に励んでおりますので、ぜひ皆さんにも一緒に参加していただいて、楽しんでいただけますとうれしいです。
(取材・文:編集部 写真:高野広美)
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