中島健人「海外から注目される作品作りを」 20代ラストに抱く夢を語る
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中島:衆議院予算委員会を傍聴し、岸田文雄首相や衆議院の方々の姿を実際に拝見しました。議員秘書の方にお会いするために議員会館にもお邪魔したのですが、秘書の方の机には、ものすごい量の書類があって、日々これくらいの問題量に追われ、1つずつさばいているのかと驚きました。量もそうなのですが、これだけの膨大な責任があるというのを体感できたのが一番大きな経験だったと思います。行くと行かないのとでは全然違っていて、国会議事堂に足を運んでいなかったら、また芝居への気持ちも変わっていただろうなと思います。
でも僕はスーツで行ったんですけど、マネージャーさんがだいぶカジュアルな服装で来たんですよ(笑)。「やっぱスーツで来ると思ったよ」って言われたんですけど、そりゃスーツ着るでしょ!
ーーそんなハプニングが(笑)。晄司は劇中であまりバックボーンが描かれていないキャラクターでした。中島さんなりの解釈を反映させた部分はありましたか?
中島:これは映画に携わってきた中ですごく思っていることなんですけど、自分の中だけの解釈を強くしてしまうと、他のキャストさんたちとのバランスが合わなくなることが意外とあるんですよね。晄司に関してはバックボーンの想像はしたんですけど、作り上げていくというよりは、ナチュラルに演じることができたと思っています。
晄司の気持ちってすごくわかるんです。彼っていつも鬱屈としていて、いつもそういう気持ちを抱えている若者って多いと思うんです。ぶっちゃけ言うと、僕も持っています。でもそういう人は、いろんなことに対して鬱屈とした気持ちがあるからこそ、爆発した瞬間に、ものすごいエネルギーを持っている。僕もそうだから、晄司の気持ちを理解したまま、1番の理解者として僕は彼を演じられたかなって思います。
ーーご自身とも重なる点があったのですか?
中島:そうですね。ジュニアの時に本当に怖い振り付け師さんがいて、僕、正直すごく苦手だったんですよ。もうめちゃくちゃ注意されたし、強い言葉で言ってくる方なんですけど、ある年齢を境にその人とあまり仕事をしなくなっていくんですね。徐々に巣立っていって。でも結局それから何年か経つと、その振り付け師さんの振り付けを欲する自分がいて…。「言われたい」「あのリズムを感じたい!」って。その関係性は、晄司と父・清治郎(堤真一)の間柄に重なる部分を感じています。
その振り付け師さんは、全然電話に出てくれないし、メールも返してくれないんですけど、会ったら普通に話しかけてくれるんですよ(笑)。「なんで!? 電話出てくれないのに!?」って(笑)。昔は敵対視していたんですけど、一度離れてみると、「健人にはこれが合う」って僕が進むべき道を開いてくれたんだって気付くことができました。やり方は強引であれど、清治郎も晄司に対してそういう態度を取っていたんじゃないかなと思います。
(C)2023『おまえの罪を自白しろ』製作委員会
ーーなるほど。実際の撮影では、堤さんから影響を受けたことはありましたか?
中島:この映画のポスターの堤さんってめちゃくちゃ怖いけど、実際はおもしろおじさんなんです(笑)。映画に緊張感がなくなってしまいそうで言いたくないんですけど、本当に面白い人。ギャップがすごくて、現場で堤さんと山崎一さんは四六時中舞台の話をしているんですけど、その交流の仕方は高校の朝の教室みたいで(笑)。二人の空気感が温かいんですよね。
堤さんは僕にプライベートの話から、どんな人生を歩んできたのかまで、ざっくばらんに話してくれました。「俺はテレビはあんま興味なかったんだ。でもドラマに出始めて、劇場に人が集まって、映画界からオファーが来て…。でも全然順風満帆じゃねえよ」って。
ーーちょっとモノマネ入ってません?(笑)
中島:自信あるんです。本気出したら結構似てると思っていて(笑)。堤さんって苦労人だから、本当にいろんな経験を話してくださって、だからこそ怖いみたいなことはなかったですね。それでも芝居になると圧がすごいんですよ。関西の方だからか「キレさせたらやばい」みたいなオーラが出ていて。でも堤さん、ボケてくださるから、ツッコまざるを得ないし、ツッコんで欲しそうな感じを出してるんですよね。「それ違うでしょ」ってツッコむと「まあな(笑)」ってうれしそうで。こんな風にカジュアルなコミュニケーションができたから、伸び伸びと撮影ができました。
ーー堤さんから芝居のアドバイスなどをもらったりしましたか?
中島:堤さんって、「こうしろ」というタイプではないんです。「俺を見て学べ」なんて風には思っていないと思うんですけど、見ているだけで学べるところがいっぱいありました。空気感や雰囲気の醸し出し方というんでしょうか。言葉でそういうやり取りはしたことないですね。演技のディスカッションをしたのは、池田エライザさんと中島歩さんくらいです。
そういえば「馬刺しがうまいんだぁ。今度健人にやるよ」って堤さんに言われたんですけど、まだいただいてないな…。連絡先も交換してるんですけど、やっぱり緊張するじゃないですか。最近は織田裕二さん(ドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』(テレビ朝日系)で共演)に連絡できるようになりました。レインボーブリッジの写真撮って、「どうします?」って(笑)。なので堤さんにも馬刺しの写真を送ってみようかな。
ーー面白すぎます(笑)。ところで、本作のクランクインは昨年の7月と聞いたんですけど、その時期はSexy Zoneがライブツアー中でしたよね。役作りや撮影で過密スケジュールだったんじゃないかと想像するのですが、どうやって切り替えていたんでしょうか?