石田卓也、俳優業から離れたことで生まれた「余裕」 さまざまな経験が役者としての幅に
2005年に役者デビューしてから20年近くの歳月が流れた俳優の石田卓也。最新作映画『罪と悪』では、高良健吾、大東駿介という同世代の俳優たちと“心”をぶつけ合う芝居を披露した。数々の映画やドラマに出演しているキャリア豊富な石田だが、一時期俳優業から離れていた時期があった。そのことで俳優業という仕事の奥深さや難しさが、よりクリアになったという――。
【写真】まもなく37歳を迎え、大人の男の色っぽさも感じる石田卓也
■同世代の高良健吾、大東駿介と心をぶつけ合う芝居を
井筒和幸、岩井俊二、武正晴、廣木隆一ら数々の名監督の助監督を務めてきた齊藤勇起がオリジナル脚本で挑んだ初監督作品である『罪と悪』。14歳のとき直面したある事件を背負いながら大人になった男たちのさまざまな感情がぶつかり合うという重厚なストーリーだ。
石田は「いまの日本映画はコメディだったりポップな作品が多いと思うのですが、この映画はほぼ男性しか出てこなくて、コミカルな要素も一切ない。とても男臭く重い作品だなと感じました」と脚本を読んだときの感想を述べる。
石田が演じたのは、14歳のとき仲間が殺され、その犯人だと思われる人物を殺めてしまった3人組の一人・朔。同じく現場にいた高良演じる春と、大東扮する晃とは大人になって再会し、魂をぶつけ合う。
映画『罪と悪』場面写真 (C)2023「罪と悪」製作委員会
高良、大東共に石田とはほぼ同い年であり、共にキャリアも豊富な俳優たち。石田は「どちらもテクニックというよりは、心で芝居をする方たち。齊藤監督もあまり『こうしてほしい』という細かい演出はなく、僕らの心の底から出てくるものを救い上げよう……という感じだったので、任されている嬉しさがありました」とじっくり“人”と向き合えた環境に感謝を述べる。
魂と魂のぶつかり合い。セリフではなく、視線や息遣いで対峙するシーンが多かった。その意味で映像は緊張感で溢れている。石田は「どちらも子どものころから久々に再会し、過去の出来事からギクシャクしている関係性。何とも言えない嫌な感じが、映像に映ればいいなとは思っていたのですが、現場ではそこまで意識していなかったんです」と語る。
しかし完成した作品を観たとき石田は「僕が現場で思っている以上に居心地の悪さが、体全体から出ているなと感じて嬉しくなりました」と作品全体のトーンにあった芝居ができたことに喜びを感じたという。「本当に二人がド直球で感情をぶつけてきてくれたので反応できた。本当に食らいました」と高良と大東に感謝していた。