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奥田瑛二、変わらない色気の秘密「モテるとか色気があるというのは決して見た目じゃない」

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奥田瑛二
奥田瑛二 クランクイン! 写真:高野広美

 映画『かくしごと』で、杏と父娘役として共演した奥田瑛二。74歳となった今もなお精力的に映画作りに情熱を注いでいる彼は、ビシッとスーツを着こなした姿もダンディそのもの。劇中では、認知症となった男の戸惑いや孤独までを見事に体現し、唸るような役者としてのすごみを見せている。奥田が、本作で難役にチャレンジした理由。映画界で活躍する娘の安藤桃子&安藤サクラへの想いや、「まだ進化し続ける」といつまでも輝きを失わない“色気の秘密”までを語った。

【写真】これぞ大人の男の色気! かわいい笑顔とのギャップもたまらない奥田瑛二、撮り下ろしショット

◆認知症の父親役に「困難であればあるほど、チャレンジしたくなる」

 『生きてるだけで、愛。』(2018)で長編監督デビューした映像クリエイター・関根光才の長編第二作となる本作。父の孝蔵(奥田)が認知症を患ったことをきっかけに渋々田舎に帰った千紗子(杏)が、事故で記憶を失ってしまった少年を助けるが、その体に虐待の痕を見つけたことから、彼を必死に守ろうとする姿を描く。

 奥田が演じたのは、認知症が進行して娘のことさえ忘れてしまった孝蔵役。背筋をピンと伸ばし、朗らかな笑顔でインタビューに現れた奥田とは、まったく違う佇まいをした男がスクリーンに登場する。奥田は孝蔵役のオファーが舞い込み、「やるべきだ」と強く感じたという。

映画『かくしごと』場面写真 (C)2024「かくしごと」製作委員会
 認知症や子どもへの虐待など、家族の問題を真摯に見つめた映画となるが、奥田は「この年齢になると、家族や身近な人、そして社会とどのように関わっていくのか。社会で起きる出来事にどのように対処するのか、というテーマを捉えた作品に参加したいという強い願望が生まれた」と切り出し、加えて「ここ10年は、上から目線で話したり、地位のある役柄ではなく、自分が心から溶け込んでできるような作品を待っていたんです。今回のお話は、親子の話を描きつつ、子どもが抱えている問題やそれぞれが背負っている日常をしっかりと捉えた内容で、僕がここ10年、考えてきた想いにぴったりとハマるような作品だった。プロデューサーと監督の話を聞いても、作品に対する真摯な気持ちがひしひしと伝わってきた」と、本作は奥田が望んでいたような作品だったと話す。

 「ただ『やるぞ』と決めたとしても、難しいのは認知症の役柄であるということ」と難役であったことには間違いない。奥田は「とても難しい役だと思った。でも困難であればあるほど、難しければ難しいほど、チャレンジしたくなって」とニッコリ。クランクインまでにはあらゆる準備を試みたそうで、グループホームを訪ねて実際に認知症の人々とコミュニケーションを取りながら、研究を重ねた。「うちのカミさんの安藤和津さんのお母さんも、13年間くらい認知症を患っていました。ただ出自や環境が違えば、それぞれの居ずまいも変わってくる。いろいろなリサーチをしました」と全身全霊を傾けたが、そこには「“自分は孝蔵である、孝蔵は奥田瑛二である”ということをきちんと獲得して、責任を持ってクランクインしなければいけない」という覚悟がみなぎっている。

 「せっかく杏さん演じるすばらしい主人公がいるのだから、僕が作品を壊すわけにはいかない。そしておそらく観客の中にも、『私の父、母も認知症でした。介護をしていました』という方がたくさんいると思います。また『自分はまだ介護を経験していないけれど、もしそうなったらどうするんだろう』『自分が年をとってそうなった時に、子どもたちはどうするだろう』と考えている方もいるでしょう。そういった方たちが本作を観て、なにかを持ち帰れる映画にできるか。僕は、俳優もそういったところまで含めて責任を持たなければいけないと思っています。だからこそ、血、骨、肉まで孝蔵になろうという想いで、作品に臨みました」と俳優としての姿勢を明かす。

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◆娘たちへ受け継がれる、映画界のバトン

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