菅野美穂、子育てを経験し母親役に挑む心境に変化 「こうなりたい」と思った理想の母親像とは?
確かな演技力と存在感で輝きを放ち続ける菅野美穂。6月14日公開の最新作『ディア・ファミリー』では、生来の心臓疾患で余命10年を宣告された娘の未来を変えるために、夫と二人で東奔西走する実在の女性を好演する。実生活でも2人の子育て真っ最中の菅野に、本作のモデルになった女性の印象や、母親役を演じる思いなどを聞いた。
【写真】柔らかいほほ笑みに癒やされる! 菅野美穂、撮り下ろしショット
◆モデルとなった家族の思い出をお借りする気持ちで役に向き合う
本作は、世界で17万人もの命を救ったIABP(大動脈内バルーンパンピング)バルーンカテーテルの誕生秘話を実写化。生まれつき心臓病疾患を持つ娘・佳美に突き付けられた「余命10年」という宣告。どこの医療機関でも治すことが出来ないという現実を突きつけられ絶望の中、小さな町工場を経営する父・宣政は「じゃあ俺が作ってやる」と、人工心臓を作ろうと立ち上がる。菅野は、そんな一家で、夫・宣政と共に人工心臓・カテーテルの研究に励むかたわら、会社や家族を気丈に支える陽子を演じる。
実際に起こった出来事の映画化。出演オファーを聞いた菅野は、「まだご存命ということもあり、ご家族の思い出をお借りするような気持ちで、大切に演じさせていただきたい」との思いで役と向き合った。「自分も子育て中ということもあり、子どもを育てるだけでも大変なのに、旦那さんのお仕事や、娘の闘病、しかも、お医者様に治らないでしょうと言われる中での闘病で心労もあったと思います。どのように毎日を過ごしてらっしゃったんだろう」と、台本を読み胸がつまる思いがしたという。
モデルとなった陽子さんとは撮影前にリモートで対面を果たした。「ものすごく穏やかで品の良い方でした。ご自身のお話をするときは明るくおしゃべりしてくださるんですけど、ご家族がお話してるときは、目線を下にして静かにうなずいていらっしゃって」と振り返り、「ご本人の佇まいを損なわないように」と改めて思ったそう。一方、筒井さん一家と一緒に完成した作品を鑑賞した際には、「娘さんが『昔はお父さんが2人いるような家でした』とおっしゃっていました。女性らしさの中に、あの時代の働き盛りの男性にもひけをとらない強さも秘めていらしたんだな」と感じたという。
映画『ディア・ファミリー』ポスタービジュアル (C)2024「ディア・ファミリー」製作委員会
脚本は、娘さんたちの感想も取り入れつつ、作り上げていった。「お父さんだけが頑張ったんじゃなくて、お母さんが大変だったっておっしゃっていて。娘さんたちはお母さんが大変なことを、ずっと身近に見てこられたので、お父さんだけじゃないという思いがあるんだなと思いました。それはやっぱり、自分の気持ちは二の次で、子どもたちのこと、会社のことをっていう陽子さんが頑張っておられたからですよね」と語る。
夫・宣政を演じる大泉洋とは今回が初共演。会見では、「菅野さんの控室から“山賊たちの晩さん”みたいな笑い声が聞こえた」と明かすなど、息のあったやり取りが見られた。「パブリックイメージの大泉さんって、いつも文句を言っているというか、あれはボヤキ芸なんですけど、神経質なところがあるんじゃないかと思ってたんですよね」と告白。「気難しい方だったらどうしようと、ちょっとドキドキしながら現場に行ったんです。でも、終わってみたらすごくお話しやすくて! あ、あれは芸であって人柄ではないのかとホッとしました」と笑う。
川栄李奈、福本莉子、新井美羽が演じた三姉妹についても、「皆さんあの昭和のヘアスタイルが似合っていてびっくりしました。普段のご本人たちは絶対しない髪型やファッションなんですけど、すっとタイムスリップできてるというか、雰囲気までは知らないはずなのになじんでいて、女優さんとして素晴らしいなと思い感心していました」と、劇中同様、一家を支える母のようなまなざしを見せた。