阿部サダヲ、“思い出の歌舞伎町”で挑む新たな『ふくすけ』「過去に観た人は1回忘れて」
――サカエを演じる黒木さんとは初共演です。印象を教えてください。
阿部:面白いですね。楽しい人です。黒木さんは、舞台で松尾さんの演出を受けるのが初めてなんですよ。とにかく直球で受け取っていて「やるぞ!」という気合が入っているのか、この前も、稽古場で松尾さんが「そこはさる」と、そのまま去っていって欲しいと演出したつもりが、黒木さんはそこで“猿”をやろうとしたんです。というか、やり始めていたんです。
――!! 「さる」が去るではなく、モンキーのほうに変換されたんですね(笑)。
阿部:松尾さんの舞台だから全部が面白く変換されちゃったんですかね。いや、やっぱり、面白くというより、ただまっすぐに受け取って、そのままやったという感じでしたね。さすが、良い俳優ってそうなんだなと。そこで疑問に思って、聞いちゃダメなんだと。黒木さんに限らず、みんなそうなんですけどね。「こうやって」と言うと、「なぜですか?」ではなく、すぐにやる。
――阿部さんも理由は聞かないですか?
阿部:聞かないですね。すごくいいチームでできてる感じです。
――フクスケを演じるのは岸井ゆきのさんです。別の現場で、岸井さん本人から聞いたそうですね。
阿部:そうなんです。「今度、『ふくすけ』で一緒ですよね」という話になって。でも岸井さんがフクスケをやるとは思ってなかったから、フクスケだと聞いてビックリしました。これは面白そうだなと。少年にも見えるし、すごく合ってる気がします。フクスケのかぶりものがあるんですけど、あれをつけて稽古をした岸井さんのフクスケがすごくかわいいんです。それも岸井さんである意味として加わったものだと思います。