水樹奈々、25年の感謝と進化——ニューアルバム『CONTEMPORARY EMOTION』が描く新たなステージ
――今年はアーティストデビュー25周年イヤーとなりますが、 これまでの活動を振り返り、とくに印象深い出来事を教えてください。
水樹:本当にたくさんありますが、やはり最初に思い浮かぶのは、2009年に初めて紅白歌合戦に出場したときですね。もう、とにかく震えました。
幼い頃に演歌歌手を目指していたこともあって、大晦日は家族みんなで紅白を観るのが恒例だったんです。「いつかこの舞台に立てたらいいね」と話していたステージに、まさか自分が立つ日が来るなんて……本当に夢のようで、決まったと聞いたときは信じられませんでした。
紅白出場の知らせを受けたのは、レコーディングのT.D(トラックダウン)作業をしている最中で、三嶋プロデューサーに個室に呼ばれて発表されたんです。でも、あまりに予想外すぎて、一瞬何が起こったのか理解できなくて(笑)。
本番もとにかく緊張しすぎて、気がついたら終わっていたような感覚でした。歌詞を間違えないように、音を外さないようにと、あれこれ考えているうちに、一瞬で終わってしまって。マイクを握る手が汗で滑り落ちそうになるくらい、ガチガチに緊張していました。
――声優アーティストとして初出場という、まさに歴史的な瞬間でしたよね。紅白以外にも、特別な思い出になっている出来事はありますか?
水樹:紅白出場と同じ年に西武ドームで開催した初めてのスタジアムライブ「LIVE DIAMOND」も忘れられません。まさか自分が野球場で歌う日が来るなんて……本当に信じられなくて、ずっとそわそわしていました。
普段はライブ直前までしっかりご飯を食べて、スタッフさんと何気ない話をしたりして、あえてリラックスさせるのですが、その日はもう座っていられなくて。何回もお手洗いに行ったりして、スタッフさん達にも「こんな奈々ちゃん見たことない!」って心配されるほど、落ち着きがなかったです(笑)。
でも、その公演が自分にとって大きな転機になり、それ以降は西武ドームだけでなく、東京ドームや阪神甲子園球場など、いろんなスタジアムでライブをさせていただくようになり、あのときの経験や感動が今につながっているんだなと改めて感じます。