草なぎ剛&樋口真嗣、『日本沈没』から育んだ友情が18年を経て『新幹線大爆破』で結実
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Netflix映画『新幹線大爆破』場面写真
――本作で草なぎさんが演じた車掌の高市も、危機に立ち向かう役どころです。樋口監督にとって、草なぎさんにそういった役を預けたいという思いがありますか?
樋口:剛くんは、苦しんだり、耐えたりする人を演じると本当に輝くんですよ。今回演じてもらった高市は、乗客を救うためにものすごく苦しい決断をしなければいけない役どころです。究極の選択に対する葛藤をにじませたり、苦しみの中で立ち上がっていく役を演じる剛くんは最高です!
――クライマックスで見せる高市の表情も、忘れ難いほどすばらしいものでした。樋口監督が改めて、俳優としての草なぎさんのすごみを感じたシーンがあれば教えてください。
樋口:豊嶋花さん演じる女子高生の柚月から、高市が落とした名札を受け取るシーンがあります。走っている新幹線の中で撮影をしていたので、みんながどうしても「トンネルに入るまでにここまで撮らなければ。次の駅に着くまでに撮らなければ」と少し殺気立ってしまったんですね。そんな中で撮ったので、あとからお互いの気持ちを撮り切ることができなかったのではと感じて。キャラクターの気持ちを整理しつつリテイクをさせてもらったところ、草なぎさんがすばらしい表情をしてくれました。天使のような顔でしたよ。
草なぎ:リテイク前にもいいシーンが撮れていたけれど、あの時はみんな焦っていたからね。撮り終わった時に、僕も「監督、違和感を覚えているのかな」と感じる部分があって。やっぱり監督は、よく全体を見ていますよね。冷静になって仕切り直したことで、さらにいいシーンになって本当によかったなと思います。
Netflix映画『新幹線大爆破』場面写真
――お二人が通じ合っていることがよく分かる一コマですね。18年の中でお互いの変化を感じることはありますか。
樋口:剛くんはこの18年の間、YouTubeを始めたり、犬を飼ったり、いろいろな変化、経験をしてきたと思います。それらがすべてご本人の年輪となり、役者としてのレイヤーにもなっている。
草なぎ:レイヤー! 横文字を使うんだよね(笑)! 樋口監督は、子どもがおもちゃで遊んでいるように、楽しみながら作品づくりをする方で。いくつになっても子ども心を忘れていない。僕も精神年齢は小学校2年生くらいなところがあるので(笑)、監督とは、大人の縛られた価値観や世界観から放たれて、「楽しんで作ろう」というところで共鳴し合っている感じがするんです。それでいて、子ども心だけでは決して作れないような作品を完成させてしまうんだからすごいですよ。監督の頭の中にはきちんと撮りたい画があって、そのためにはどんな技術が必要かも分かっているんですよね。そして1秒に満たないようなワンカットにもものすごい熱意を注いで撮っていくので、役者としても安心感ややりがいがあります。
樋口:特に本作は登場人物が多いし、それぞれの表情を撮ることに手を抜くわけにはいかない。キャラクター大渋滞のような作品ですが(笑)、時間をかけて丁寧に撮っていきました。
草なぎ:監督の真骨頂を味わえる作品になったと思いますよ!