元宝塚宙組トップ娘役・潤花、退団後も変わらぬ舞台への思いとこの2年で生まれた変化

持ち前の明るいキャラクターで作品を華やかに彩る、元宝塚歌劇団宙組トップ娘役の潤花。2023年の退団後初のミュージカル作品として、この春、名作『二都物語』でヒロインに挑む。井上芳雄、浦井健治らそうそうたる顔ぶれとの共演を控える彼女に話を聞くと、退団後も変わらぬ舞台への思いやこの2年での変化を教えてくれた。
【写真】キュートな表情がいっぱい! 潤花、撮りおろしショット
◆ルーシーの芯にある想いを忘れずに演じたい
『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』などで知られるチャールズ・ディケンズの小説を原作とする本作は、18世紀のイギリスとフランスの二国間で起こる美しく壮大なロマンス物語。2007年にアメリカでミュージカル化され、翌年にはブロードウェイに進出。日本では2013年帝国劇場にて初上演され人気を博し、このたび12年の時を経て再演される。
フランス革命期の激動の中、それぞれの国の2人の青年と1人の美しい娘とのドラマティックなロマンス。見返りを求めず、危険を顧みずに愛し続ける無償の愛は、観る者すべての心を打ち震わせ、感動の涙へと誘う。主人公の弁護士シドニー・カートンを井上芳雄、フランスの亡命貴族チャールズ・ダーニーを浦井健治が初演より続投し、その2人から想いを寄せられる、美しく心優しい女性ルーシーを潤花が演じる。
――本作の出演オファーを聞かれた時のお気持ちは?
潤:宝塚を退団してから初めてのミュージカル作品で、このような素敵な作品、そして素晴らしい共演者の方々とご一緒できるということにまず感謝の気持ちでいっぱいでした。また、ルーシー・マネットは私にとって挑戦になるお役だと思い身が引き締まり、お稽古までにしっかりと準備を重ねて臨もうと強く思いました。
――作品の印象はいかがでしたか?
潤:台本をいただく前に原作を読ませていただき、映画も拝見しましたが、どれも受ける印象がいい意味で違いました。すごく心苦しいのですが、なぜか最後は前向きになれる。人を愛することには苦しさや辛さもありますが、誰かのために生きる・誰かと共に生きることのすばらしさを感じました。フランス革命の激動の時代に、登場人物それぞれ形は違いますが、愛を忘れず力強く生きる姿はとても素敵です。
――演じられるルーシーはどのような女性ですか?
潤:一見すごく恵まれている幸せ者と見えるかもしれません。でも幼いころに空いた彼女の心の穴が、父との再会によって全て埋まるわけではありません。父がまた同じことを繰り返すのではないかという恐怖と、今はそばにいられるという喜びとの葛藤という不安と幸せのはざまで生きている女性だと思います。チャールズと出会えたことは、彼女の人生で一番大きな出来事で、彼を通して満たされるものや、自分が愛することの意味を感じますが、ルーシーが幼いころに受けた傷、孤独、恐怖心は心の中に深く持って演じたいと思っています。