室井滋、来年デビュー45周年 変わることは好まず「これからもこのままで」
――室井さんは、来年デビュー45周年を迎えられます。長いキャリアの中でターニングポイントになった作品はどの作品になるでしょう。
室井:長かったような気もするし、昨日富山から出てきたような気もしますね。私、大学が早稲田で、7年で中退したんです。その間に自主映画ってものでデビューしましたので、ずっと学生みたいな気持ちがあって。早稲田にも長いこと住んでいましたし、今も何もないのにフラフラと行ったり。学生気分が抜けなくて、こんな老舗の女将さんを演じていて申し訳ないのですが、いつ自分が大人になったのかわからない。ターニングポイントって言われても、どこで変わったんですかね。
そもそも私、あまり変わることを望まないところがあって。電話機も今もガラケーを持っていますし、だいぶ世の中から取り残されているんです。でも若いころはそうじゃなくて、最先端のものを持っていたんですよ。誰も持っていないころに「しもしも~」のショルダーホンを20何万円で買って。「かけていいよ」と周りに見せびらかしていたんですけどね。今はみなさんのように次々と新しいものを買い替えようって気持ちもなくって、これがまた物持ちがよくて壊れないんです。原稿もジャポニカ学習帳に下書きして、原稿用紙に清書してコンビニからFAXで出してますから。
そのスタイルは長いことやってますので、あんまり変わりたくない。世の中についていけないような感じになっちゃってますけど、でもそれも嫌じゃないんですよね。
映画『ぶぶ漬けどうどす』場面写真 (C)2025「ぶぶ漬けどうどす」製作委員会
――いろいろな活動をされてきていますが、今後はどのようなことにチャレンジしていきたいと考えられていますか?
室井:そんなにいろんなことをしてるって気持ちはなくって。1つは女優としてお芝居をやっている、もう1つは原稿をずっと書いてきたので少し文学寄りのこともしている。でも私、一番大好きなのがナレーションの仕事なんですね。声の仕事をしたいっていうのがもともとの希望で、『ファインディング・ドリー』のドリーの声をやらせてもらったり。今、富山にある高志の国文学館の館長をしているんですけども、そこでも県内の俳優さんや女優さんを集めて朗読の会をやったりしています。
自分にできて、自分が楽しいなと思うことをこれからも続けていきたいなと思っています。変化を好んでいないので、これからも変わらないと思います!(笑)
(取材・文:佐藤鷹飛 写真:高野広美)
映画『ぶぶ漬けどうどす』は、6月6日全国公開。