『8番出口』二宮和也、小松菜奈との撮影に喜び 「歩く男とばっかりだったんで(笑)」
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小松:『わたくしどもは。』以来、久しぶりの映画撮影だったので、とても緊張しました。クランクイン前は寝れなくて「どうしよう」と思ったくらいで。すでに撮影は始まっていて、わたしが後から参加する形だったので、どういう風に進んでいるのか、どんな雰囲気なのかと不安が募りました。いろいろ考えていたら、背中が痛くなってきちゃって(笑)。緊張しすぎて最初のシーンの撮影は声が震えていました。
二宮:ずっと核心をついたシーンを撮影してたので、ワンカットを撮っても落ち着けるタイミングがなかったですね。
小松:そうなんですよ。わたしたちのシーンで言うと、つながっている感じがないので難しさがありました。
二宮:普通だと段階を踏んでから核心に迫っていくと思うんですけど、すっ飛ばしていきなり結論から入る感じがあったよね。
――小松さんは遅れての参加だとおっしゃっていましたが、「明日、小松さん来るぞ」っていう日の現場はどんな感じだったんですか?
二宮:僕ら側はすごくうれしかったです。ずっと歩く男(河内大和)と歩くシーンばっかりだったんで(笑)。小松さんとのシーンはある意味、“答え”でもあるので、作品の性質上、見ている人にとっては一呼吸できるシーンと言えるかもしれないですね。撮影した日はお天気も良くて、僕にとってはすごく良い日でした。
小松:12月の中旬なのに温かかったですよね。
二宮:そうなの。もう少し気温が低かったら顔が固まって冷たい感じに映る気がして。いろいろなものが味方してくれた撮影でした。
――小松さんは、2017年にザ・チェインスモーカーズのMVで川村元気監督とご一緒していますよね。今回の撮影はいかがでしたか?
小松:あのMVは、川村さんが脚本・監督・プロデュースのすべてを初めて手掛けられた作品でした。初めてお会いしたのは、それより前の『バクマン。』のオーディション会場だったのですが、今回再びご一緒できたことは、とても感慨深いです。川村さんに撮っていただくからこそ、緊張したのかもしれません。
――二宮さんはいかがですか? 撮影→編集→確認をその場でやる現場だったそうですね。
二宮:そうなんです。撮ったテイクが使えるか使えないかを判断している間に、もう1回撮影する準備をしつつ、次の段取りの練習をする…みたいな感じでした。長回しが多かったので、1回撮って確認するだけで20~30分かかるんです。さらにそこから編集も加えるので、最終的な答えが出てくるのが1時間後くらい。反射的に編集しないものもあるのですが、「ハマるかもしれない」っていうカットもその場で編集していくので、もう1回撮影できる準備は残しつつ、「次の段取りもやっておくか、今やることないし」みたいな時間はありました。カメラマンの今村圭佑さんと一緒に次の動きを決める時間に、僕たちがセットに入るので、練習して撮れたものを見ていただいて、その確認中に次の動きを確認するという贅沢さはありましたね。
小松:その場で確認ができるのはいいですよね。
二宮:この映画ってワンシーンが長いので、台本上は全部で15シーンしかないんです。だから、例えば10周目から15周目を撮影してもシーン自体は変わらないので、それをどう組み立てていくのかや何が起こるかを、台本に書かれていないところでできて、すごく贅沢な撮影でした。元気さんも「みんなのアイデアを借りたい」って撮影初日から言っていたので、すごくフラットにアイデアが出し合える現場でした。
――制作から携われると役者としてもやりやすさがありそうです。
二宮:そうですね。特に今回はぼくの一人芝居が多いので、絶対に現場で何かを言うだろうと思っていました。なので、脚本協力という形で携われたのはとても大きかったです。
(取材・文:阿部桜子 写真:コウ ユウシエン)
映画『8番出口』は公開中。