北山宏光、6年ぶりに舞台主演 「1年目のような気持ちで」黒澤明監督『醉いどれ天使』の世界観に体当たり

黒澤明監督と三船敏郎が初めてタッグを組んだ映画『醉(よ)いどれ天使』が、新たなスタッフ・キャストを迎えて“25年舞台版”として上演される。戦後の混沌とした時代に生きる人々の葛藤をいきいきと描いた本作で主演を務めるのは、6年ぶりの主演舞台となる北山宏光。「北山宏光が主人公・松永を演じる意味を見せつけたい」と語る彼に、“この作品を令和に上演する意義”について語ってもらった。
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■北山宏光、6年ぶりの主演舞台にしみじみ「1年目のような気持ちで」
――歴史ある作品の主演を務めることになりました。オファーを受けての率直な思いを聞かせてください。
北山:歴史を背負う責任を感じましたね。ただ、この令和の時代に上演することで、観た方々が何をどう受け取ってくれるのか……というワクワク感もありました。
――北山さんご自身は、この作品を知っていましたか?
北山:いえ、知りませんでした。オファーを受けてから作品を観たのですが、登場人物たちの荒々しい姿がとても印象的で。戦後、家も家族も何もかもを失ってしまった状態で、怒るのも悲しむのも疲れてしまう。それでも生きていかなければいけない人間のエネルギーを感じる物語でした。
――この作品で、主演としては6年ぶりに舞台へと帰って来ることになりました。それについての思いも聞かせていただけますか?
北山:前回の舞台からもう6年も経ったんだなぁ……と、なんだかしみじみしてしまいました。この6年の間、活動の環境にいろいろな変化があったので、今回の舞台は1年目のような気持ちで挑もうと思います!(笑) 僕自身、舞台という場所がすごく好きなんですよね。舞台は“生もの”で、映像作品とは違った“尊さ”があると思っています。僕たちの放つ熱量をお客さんに直に感じてもらえる場所なので、この作品を観た人にも何かを与えられたらいいなと思っています。
――演じる「松永」は、闇市を支配する若いやくざ。自身と共通することは少ないと思いますが、共感できる部分などはありましたか?
北山:生きている時代がまったく違うので、共通点を見つけることはなかなか難しいですね。ただ、松永は思ったことを素直に吐き出すキャラクターなのですが、「もしも僕がこの時代に生きていたら」と仮定すると「僕も同じ吐き出し方をしていたのかな」なんて思いました。
さらに、共感はできないけど“理解”はできる部分もあったりして。男って、虚勢を張る生き物なんですよ(笑)。僕の心の中にも存在するであろうその感情を上手く引き出して、演技に繋げていけたらいいなと思っています。
――北山さんも虚勢を張ってしまうことはありますか?
北山:かわいがっている後輩に対して強めに言ってしまうこともありました。かっこつけずに、優しく指導すればよかったのにね(笑)。