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北山宏光、6年ぶりに舞台主演 「1年目のような気持ちで」黒澤明監督『醉いどれ天使』の世界観に体当たり

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■“北山宏光が松永を演じる意味”を見せつけたい



――松永は「死にたいけど死にたくない」「故郷に帰りたいけど帰りたくない」という“矛盾”した部分も持ち合わせています。その点について、北山さんはどう思いますか?

北山:僕は「人間は誰しも矛盾している」と思っていて、その部分に関しては、松永にすごく共感できます。ましてや松永は戦後の混沌とした世界で生きている。追い詰められた状態の中で「死にたいけど死にたくない」と思うのは、とても人間らしいと思いました。僕もこの時代に生きていたら、そういう考えになっていたと思います。

――これから稽古に入られますが、松永を演じるために準備していることはありますか?

北山:準備というか、僕がもともと持っているものをスパイスとして、作品に色を付けていきたいなとは思っています。原作となった映画、2021年に上演された舞台がある上で「北山宏光が松永を演じる意味」というのを見せつけなければいけないと思っています。

――まだ模索中かと思いますが、「こういう松永にしたい」というイメージはありますか?

北山:松永の無骨なイメージの中に、少しの“艶”を足したらどうなるのかな?と思ったりしています。そうすることで、令和版ならではのオリジナリティーが出るのではないかと。

舞台『醉いどれ天使』メインビジュアル
――舞台ビジュアルからは、すでにオリジナリティーが少し感じられるような気がします。

北山:ありがとうございます。今作では顔に土を付けて荒々しさを表現したりと、あえて過去作との変化を加えています。そのアプローチの仕方もそうですが、時代やキャストが変わると雰囲気もここまで変化するのかと、面白さを感じました。

――共演者には、横山由依さん、岡田結実さんなどが名を連ねています。顔合わせはまだ(※取材時)ということですが、他番組で共演した際の印象を聞かせてください。

北山:共演経験がある方はいるのですが、すべてバラエティ番組なんですよね。だから、バラエティでの面白い印象しかなくて(笑)。一緒にお芝居をしたことがないので、掛け合うことでどんな表情を見せてくれるのか、本当に楽しみです。渡辺大さん(真田役)とは今回が初共演。キャラの立ち位置としてはバディ関係のような感じになるので、さらにご本人との年齢も近いですし、仲良くなれるといいなと思っています。

――演出の深作健太さんとはすでにお会いされたと伺いました。彼の印象はいかがでしたか?

北山:物腰が柔らかくて、そしてとてもクリエイティブな方だという印象を受けました。「この作品はこうだから」と凝り固めている感じはまったくなくて、一緒にアイディアを出し合いながら作品を作っていける“柔軟さ”を感じましたね。


――上演決定のリリースに「今の時代に上演される意義が見出されることでしょう」とありました。北山さんが脚本を読んで感じた“意義”を聞かせていただけますか。

北山:この作品を令和に上演すること自体が、まず面白いですよね。生きることに対しての“揺れ”を感じる作品で、令和に生きる方々が観た時に、咀嚼の仕方が全員違うものになると思いました。また、時代背景も今とまったく違いますが、「死にたいけど生きていたい」などの複雑な心境を抱えている人たちは、いつの時代にも存在すると思います。生死に対する思いはどの時代も共通しているからこそ、この作品から受ける何かしらの影響はあると思うんですよね。若い子が観たら、もしかしたら人生がひっくり返っちゃうかもしれない。その“何か”を受け取り感じてもらうことが、この作品を令和に上演する意義だと思います。

――北山さんは、観た方に何を受け取ってもらえたらいいと思っていますか?

北山:僕としては、上演が終わって会場を出て、電車に乗っている時でもいいし、ご飯を食べている時、お風呂に入っている時でもいいのですが、「舞台ってすばらしいな」と思ってもらえたらいいですね。充実感を感じた際、謎の“ため息”が出る瞬間ってあるじゃないですか(笑)。あの「は~よかった」というため息が多ければ多いほど、僕はうれしいです。

(取材・文:米田果織 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 舞台『醉いどれ天使』は、東京・明治座にて11月7日~23日、愛知・御園座にて11月28日~30日、大阪・新歌舞伎座にて12月5日~14日上演。

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