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松村北斗、実写『秒速5センチメートル』で気づいた“貴樹”の苦悩 自分に重ねた視聴者目線から一変、今の思いとは

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■演技へのモチベーションは憧れから

――撮影を振り返って、松村さんが印象に残っているシーンはありますか?

松村:宮崎(あおい)さんとの居酒屋でのシーンは、すごく覚えています。あそこで会話したこととセリフがすごくいいものだったなって。正直、あの瞬間何を考えていたのかは覚えていないんですけど、今思うとすごく楽しかったなと。別に大笑いする感じでも、くすくす笑うわけでもなくて、ぬへぬへしちゃうあの感じ…。伝わらないと思うんですけど、僕の生活の中にたまにある感情なんです。それを感じました。


――“実写でよかった”と思ったところはありますか?

松村:大部分に対して、実写でよかったなと思います。一方で、アニメーションという基盤があることで入ってきたエッセンスもすごく絶妙で。ちゃんと実写としての意味を奥山(由之)監督が考え続けて、僕にも深く理解させてくれた気がします。リスペクトと憧れが織り交ざっていった結果、見たことがないようなリズム感のある、今までにない魅力的なバランスの映画になったと思いました。

――「今までにない」と言うのは、どう言った部分が?

松村:アニメーションのスピードと実写って全然違うものの、似たところもある気がしていて。特に今回は、実写が「こうであるべきだろう」と答えを出した『秒速5センチメートル』の姿と、アニメーションが築いたムードが混ざった時に、相反するんじゃなくてわざわざ映画館に行って見るものとして、ものすごく魅力的な仕上がりになったと思うんです。

『秒速5センチメートル』場面写真 (C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
――今回、主人公の貴樹をどのように演じたいと考えて役作りをしましたか?

松村:「よし、これで完成」というものでもないので、正直分からないです。(貴樹の考えが)もともと自分になかった感覚だったりすることもたくさんあるので、正直「よし! 遠野貴樹完成!」みたいになることは、今回に限らずあまりないんです。とにかく自分の中で重ねて重ねて、現場に行って、画角に入れた時にどうかっていうのを試行錯誤して、奥山監督に助けを求めるような状況でした。

――撮影を通して、貴樹の印象が変わったことはありますか?

松村:一視聴者として見ていた時は、自分に重ねたくなっていたんです。何かの拍子に誰かが僕を見て「あの人、『秒速』の貴樹っぽい」って思ってほしかったというか。でも、いざ演じることになってたくさん考えて、たくさん理解して、そのシチュエーションにおかれた時に思ったのは「貴樹を分かった気でいてほしくないな」ということだったんです。もう1回冷静に考えて、あれがあって、辛くて…っていうのを(貴樹目線で)繰り返した先でかなり限界だなって思ったので。実際劇中でも「限界を迎えた時に」みたいなナレーションが入るシーンがあるんですけど、もう1回そこにフォーカスして考えると、限界って聞いて「ああ、なるほど」って。即席で作られた共感のような感情は取るに足らないというか、見当違いだったなと思いました。

『秒速5センチメートル』場面写真 (C)2025「秒速5センチメートル」製作委員会
――グループとしての活動はもちろん、お芝居の分野でも活躍中の松村さん。演技に対するモチベーションはどこにあるのでしょうか?

松村:学生の時に邦画を見るようになったんです。そこから映画にはまって、その時に「自分はこういう世界が好きだ」、「その世界で生きていそうな人っぽくなりたい」と思うようになったのが、今出ている作風に近かったのを覚えています。特に岩井俊二監督の映画に出てきそうな人だなって思われようと一生懸命生きてたり。なのでモチベーションは“憧れ”ですかね。

――今も憧れは強い?

松村:うーん、憧れで続いているものもたくさんありますが、どうしても生活していく中で忙殺されていくものもあるから、モチベーションと考えない方が続けられたり頑張れたりすることがあることも分かってきました。そういう意味では、何も考えていない時もたくさん増えましたね。

(取材・文:於ありさ 写真:米玉利朋子[G.P.FLAG inc])

 映画『秒速5センチメートル』は全国公開中。

※宮崎あおいの「崎」の正式表記は「たつさき」

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