吉沢亮、『ばけばけ』で英語での芝居に奮闘 松江随一の秀才役も「第5週からはずっとヘブン先生に振り回されている」

――松江随一の秀才という錦織友一を演じる上で、何か意識されたことをありますか?
吉沢:第4週は東京に出てきたばかりで、これから自分たちで日本を動かしていく、変えていくという心意気みたいなものがすごく強い時期で、その中で自分が秀才であるという自負もあって。生い立ちが恵まれた家系ではないというのもありつつ、自分の力で日本を変えていく志みたいなものをすごく持っているので、秀才感みたいなものは意識していました。
でも第5週からはずっとヘブン先生に振り回されている男なので、あまり意識せずといったらあれですけど、ドタバタ感のほうを意識して演じていました。
――『ばけばけ』は、吉沢さんが大河ドラマ『青天を衝け』で演じた渋沢栄一が生きた明治初期と同じ時代ですね。
吉沢:意図的に何か意識しているということはないですけど、その時代を生きた人たちの空気感といいますか、渋沢栄一は時代の変化を楽しめる人でしたが、ただ世の中はそういう人ばかりではなかった。そこに取り残される人もいれば、否が応でもここに残っていくしかない人もいる中で、じゃあ錦織はどうなんだろう?と考えた時に、『青天を衝け』で経験した空気感は役作りにも活きているなと感じます。
――錦織はこれからヘブンと深く関わっていきます。錦織とヘブンの関係はどのようにご覧になられていますか?
吉沢:県知事がヘブン先生を松江にお招きして教育を変えていくという、その主役になる人ですから、彼と一緒にいれば自分自身の人生も変わるんじゃないかっていう期待を持って接しているんじゃないかなと思います。
錦織にとってヘブン先生はもっともかけがえのない存在と言っても過言ではないくらい、これから2人の間はどんどん近くなっていきますし、今の時点でももう錦織はだいぶヘブン先生に入れ込んでいるので、相当いい仲になっていくと思います。

――高石さん、トミーさんとのお芝居はいかがですか?
吉沢:高石さん、トミーさんと3人でのシーンもかなり多いのですが、目の前で起きている事象は重めな話だったりするんですけど、重く扱わずあえてコメディタッチでやらせていただくシーンが多くて。笑いの絶えない面白いシーンが多いです。
お二人ともお芝居のテンポ感やテンション感がすごいナチュラルですし、コメディではあるんだけど、そこをオーバーに演じない感じがやっていてすごく心地いいです。素敵なお二人だなと思いながらお芝居させてもらっています。
――トミーさんとはどんなやりとりをされていますか?
吉沢:「何時起き」って言葉を教えました(笑)。ロケで朝が早い日に、トミーさんが先に入っていたので、「トミー、何時起き?」って聞いたら、「“何時起き”って何?」って。それから毎日トミーさんから「何時起き?」って聞かれるようになりました(笑)。彼は学習意欲がすさまじくて、吸収がハンパじゃないんです。
逆に「“臨機応変”って英語でなんていうの?」という話になって、「Play it by ear」だと教えてもらったこともありました。
――高石さんの印象はいかがですか?
吉沢:高石さんとトミー、2人ともお芝居が自然なんです。高石さんに関しては、最初のほうはセリフなのか、素で笑っちゃってるのかわからなくて戸惑ったくらい本当に自然な方なので、刺激はもちろんもらいますし、お芝居していてもやりやすいです。めちゃくちゃコメディが好きなんだろうなっていうのが伝わってきます。
――6年ぶりの朝ドラの現場はいかがですか?
吉沢:1年近く撮影があって、スタッフさんやキャストの皆さんの空気感に、ある種家族のような温かさがあるんです。それは『なつぞら』の時も感じたんですけど、今回久々に朝ドラに出演させていただいて、大阪っていうこともあってよりそれを感じるというか。より強い絆で結ばれているような雰囲気を現場で感じています。
(取材・文:渡那拳 写真:高野広美)
連続テレビ小説『ばけばけ』は、NHK総合ほかにて毎週月曜~土曜8時放送。※土曜は一週間の振り返り

