吉田恵輔監督、一ノ瀬ワタルの芝居に感じた“想定外”の深み「ずっといい映画になった」
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吉田恵輔監督が『ミッシング』から2年ぶりに発表する衝撃の人間ドラマ『四月の余白』が、6月26日に公開される。吉田監督が思春期に出会った人々を振り返り完成させたオリジナル脚本は、取り返しのつかない過去を背負う西が主人公だ。元半グレで元受刑者ではあるが、数年前から更生施設で未来ある子供たちを親身に指導する寮長として活動している。人生をリスタートさせた西を演じるのは、Netflixオリジナルドラマ『サンクチュアリ ‐聖域‐』の主演で時の人となった一ノ瀬ワタルだ。出世作『サンクチュアリ』や『炎上』のKAMIくんなどで、癖の強いキャラクターを得意としてきた一ノ瀬だが、本作ではクシャクシャの笑顔で子供たちと向き合う懐の深さを見せる。吉田監督と一ノ瀬の初タッグはどのように準備され、正解のないラストまで走ったのか聞いてみた。
【写真】撮影中にふざけ合う姿も! 一ノ瀬ワタル&吉田恵輔監督撮りおろしショット
■スパイス的演技を封印して、すべてを受け入れる男に
──暗い過去から更生した西という人物について、おふたりの間ではどのようなお話をされたのですか?
吉田:自分が覚えているのは一ノ瀬さんが何度も「なるほどっすなー」とうなずくことでした(笑)。
一ノ瀬:自分が印象的だったのは、いろんな子供たちが登場するから、それを受け止める側であってほしい、と言われたことでした。これまでは作品の味を変えるくらい強烈なスパイスになることを心掛けて、濃厚な演技をしてきましたが、吉田監督の説明を受けて「なるほど」と納得しました。役作りの参考に挙げられたのは、『ザ・ノンフィクション』というドキュメンタリー番組で取り上げられた半グレ集団の創設メンバーでした。自分も偶然、その回を見ていたんです。一見すると普通の人なのに、ふと語る過去は極悪非道で、笑顔なのに時折ゾッとする瞬間がある。初めは吉田監督のアドバイスは意外でしたが、説明を聞くうちに「あの動じなさを演じるのか」と、意図を理解できました。
吉田:一ノ瀬さんは強靱(きょうじん)さと愛らしさを併せ持ち、どこか包容力を感じさせる俳優さんです。西を演じてもらうときにはその多面的な魅力の奥に危うさや過去の陰影がチラリと光る男をイメージしていました。でも、基本的には自分からは役作りに指示はしません。自分とは違うアイデア、違うプランが来る可能性があるし、そちらの方がおもしろい可能性だってあるじゃないですか。もちろん疑問には答えますが、おもしろくなるかもしれないプランを引っ込められるのは避けたいので、必要最小限にとどめます。
一ノ瀬:なるほど!!
吉田:指示通りに演じられるだけではつまらないじゃないですか。一ノ瀬さんのシーンでは何テイクも撮り直していなくて、パックン(パトリック・ハーラン)との共演シーンや収穫シーンの取材風景といったおふざけシーンに強弱をつけるために、テイクを重ねたくらいだと思います。
吉田恵輔監督&一ノ瀬ワタル
一ノ瀬:電車内のシーンもそうでしたね。時間的に3回くらい撮影できるから、なんかやっておこうかみたいなノリでした。
吉田:一ノ瀬さんと海斗(上阪隼人)は微調整が効く技術派の俳優さんなんです。だから何度でも同じ演技を繰り返せるんだけど、夏帆さんは正反対で直感的に演技するから毎回変わるんです。3人のギャップはおもしろかった。
一ノ瀬:監督がおっしゃることを一言一句聞き逃さずに、求められるものを忠実に演じようと心掛けています。自分がやりたいことよりも、監督が撮りたいものからブレない方がいい作品になると思っているので。

