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吉田恵輔監督、一ノ瀬ワタルの芝居に感じた“想定外”の深み「ずっといい映画になった」

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■役作りのために自分を孤独に追い込んだ

──一ノ瀬さんは西を演じるためにどんな役作りをされましたか?

一ノ瀬:自分は西を演じるために孤独を大事にしました。だから撮影以外では、誰ともコミュニケーションを取りたくなかったし、撮影中は誰とも食事に行っていません。

吉田:確かに、一緒に飲んだりしなかったね。

一ノ瀬:撮影地の蒲郡(愛知県)ではコンビニしか行ってないです。

吉田:え? 自分、毎晩飲んでたよ。領収書が束になっていて、エグい金額になっていた。

一ノ瀬:(爆笑)

一ノ瀬ワタル
吉田:『空白』の松坂桃李さんも孤独に過ごすタイプでしたね。古田新太さんはほぼ毎晩、昼から飲んでいたし。夏帆さんも付き合いがよくて、おしゃべりで明るいんです。最初はかわいさに緊張してしゃべっていたのに、気づいたら3つ下の照明部の後輩と話している感覚になってました。吉田組は食事したり飲んだりしても、誰も芝居の話を一切しないですよ。

一ノ瀬:え、何の話をするんですか?

吉田:超どうでもいい世間話しかしなくて、例えば「明日のシーンなんですけど」なんて誰も相談してこないし、映画論も語らない。そういうタイプの人はいなかったと思う。

一ノ瀬:そうだったんですか。うさぎの話とかアットホームな話だったらめちゃくちゃ行きます!

吉田:私たちの共通点はうさぎを飼ってること。私は2年前から1羽飼っていて、一ノ瀬さんは8羽もいて歴史も違う! 1対8ってコールド負けだから、一ノ瀬さんとうさぎについて語ることはできません(笑)。あとね、一ノ瀬さんはうさぎに掛ける金額が桁違いで、生活を投げ打っています。

一ノ瀬:そうなんですよ。

吉田:蒲郡で高級ないちごを見つけたときに、私は高すぎるから手が出せませんでした。でも、一ノ瀬さん、うさぎたちのために買っていました。

一ノ瀬:うさぎの健康のために38万円の空気清浄機も買いました。うさぎのために仕事しているといっても過言ではないです。

吉田:私は昨日、たった1羽しかいないうさぎを胸に抱きあげた瞬間、乳首を噛まれ、思わず手を離してしまいました。もし現場で飲んだり食事することがあったら、こんなうさぎトークで十分、大丈夫ですよ。

一ノ瀬:安心しました。一緒にご飯を食べたりというのはいつかしてみたいですけど、役にもよりますね。自分は助走が長ければ長いほど安心するタイプなんです。もしかしたら助走2メートルで飛べるかもしれないけど、できれば300メートルくらいは欲しい。とはいえ、やり過ぎると逆に支障になることもあるし、助走で疲れることもあるし。

吉田:じゃあ、主役3本、掛け持ちでやるしかないオファーが来たらとかどうする?

一ノ瀬:それはもうお断りするしかないです(笑)。

吉田恵輔監督
吉田:ここで吉田組について説明したいのですが、私は俳優を追い込む監督だと誤解されているようで、俳優さんが「役作りを徹底して追求しなくてはいけない」と自分を追い込む謎の現象が発生するんです(笑)。『ミッシング』の石原さとみさんは役作りのために、撮影中はお子さんに会うのをやめようとしたくらいで、役作りにもほどがある! このように石原さん、一ノ瀬さんなど“ほどがある”俳優さんが集まる傾向があって、私は何も要求してないのに、ストイックに役作りをして現場に現れます。皆さん、そんなことをしなくても、すでに上手なんですよ。厳しく追い込むことで発見できる何かがあるようで、私としては現場ではご自由にお楽しみくださいという立場でおります。

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■常に「あと何分残っているか」と計算していた

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