佐藤拓也&星希成奏、『ヤニすう』で見つめた“大人の一息” 「深呼吸できる相手」がいる尊さ
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サラリーマンの佐々木と、スーパーで働く山田、そしてスーパーの裏で出会う田山。友達でも、同僚でも、恋人でもない二人が、何気ない会話を重ねる中で少しずつ心をほどいていく――。テレビアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』は、大人だからこそ簡単には踏み込めない距離感と、日常の中にふっと息をつける場所があることの尊さを描く作品だ。本作で佐々木を演じる佐藤拓也、山田/田山を演じる星希成奏にインタビューを実施。原作に感じた“ヤキモキする”魅力、生活感を大切にした役作り、互いの芝居に支えられながら築いた掛け合い、そして「深呼吸できる相手」「縁」と語る二人の関係性について聞いた。
【写真】佐藤拓也×星希成奏の撮り下ろし&『ヤニすう』場面カット集(24枚)
■サラリーマンのおじさんとスーパーの店員さんが生む、もどかしい距離感
――原作に初めて触れたとき、どのような印象を受けましたか?
佐藤:これまでいろいろな作品を読ませていただいたり、出演させていただいたりしてきましたが、サラリーマンのおじさんとスーパーの店員さんという関係性で、こんなにも可愛らしくて、見ているこちらがヤキモキしてしまう物語が描けるんだ、という衝撃がありました。
だからこそ、この独特の空気感をアニメでどう表現するのだろうというところには、すごくドキドキしていました。でも実際に作り始めてみると、今はもう「早く皆さんに見てもらいたい」という気持ちしかありません。完全に、ただの原作ファンですね(笑)。
星希:本当に一言でまとめるのが難しい作品だなと思いました。大人ならではの距離感や恋愛感があって、恋愛をしているようで、でもはっきりと恋愛をしているわけでもない。その曖昧さや、踏み込みきれないもどかしさに、すごく心を掴まれました。
見ている側としては「もう一歩いってほしい」と思う瞬間もあるんですけど、その一歩を簡単には踏み出さないところが、この作品らしさでもあって。そういうドキドキ感が、すごく刺さる作品だなと感じました。
テレビアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』キービジュアル(C)地主/SQUARE ENIX・「ヤニすう」製作委員会(C)Jinushi/SQUARE ENIX
――佐藤さん演じる佐々木は、ご自身の実年齢にも近いキャラクターですね。
佐藤:そうなんです。ここまで自分の年齢に近い役は、実はあまり演じた経験がなくて。佐々木さんは45、6歳で、僕自身は42歳。いざ「おじさんを演じよう」と思った時に、世間がイメージする“おじさん”と、実際にその年代にいる自分との間に、意外なギャップを感じました。
声優という仕事は、年齢を重ねても10代、20代の役を演じる機会が多いんです。だから改めて「おじさんって、どう演じるんだろう」と考えた時に、これまで自分が培ってきた武器があまり使えない感覚がありました。
そこで手がかりになったのが、作品の中で描かれている佐々木さんの暮らしや、現場でいただくディレクション。そして何より、隣で星希さん演じる山田/田山さんと会話を重ねていくことでした。そのやり取りの中で、佐々木という人物を一つひとつ作り上げていく作業は、難しくもあり、同時にとても楽しくもありました。今では、皆さんのおかげでかなり馴染んできた感覚があります。
佐々木さんは、何気ない会話の中で、本人が意図しないまま少し“いいこと”を言ってしまう人なんです。ただ、それがいわゆる決め台詞になってはいけない。彼の真心から自然にこぼれた言葉であることが、すごく大事だと思っていました。
実際、収録では「今の言い方だとかっこよく聞こえすぎてしまう」というディレクションをいただくことも多かったんです。でも、かっこいいって何だろう、と考える一方で、原作を読んでいると「いや、佐々木さんのそれは確かにかっこいいんだよな」と思う瞬間もあって(笑)。
ただ、声としてアウトプットした時に、そこに生活感がないと、この作品の世界では成立しないんです。だから最終的には、あまり“お芝居をしすぎない”ことが大切だったのだと思います。佐々木さんの言葉が、飾られたものではなく、日々の疲れや優しさの中からふっと出てくるように。その距離感を探っていく役でした。
テレビアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』場面写真(C)地主/SQUARE ENIX・「ヤニすう」製作委員会(C)Jinushi/SQUARE ENIX
――山田/田山は、原作を読んでいると「なぜ佐々木は気づかないのだろう?」と思う場面もありました。ただ、星希さんのお芝居を聞いていると、「これは気づかないかもしれない」と納得させられる絶妙なバランスがありました。
星希:ありがとうございます。やっぱり、気づきそうで気づかない、その絶妙な距離感があるからこそ、佐々木さんと山田/田山のドギマギ感が生まれていると思うんです。
山田と田山は、少しでもバランスがずれると同一人物だとバレてしまう。でも、逆にずれすぎてしまうと、キャラクターとしてのリアルな温度感から離れてしまう。この作品は、そういう日常の空気や感情の機微をとても大事にしているので、その塩梅を崩さないように、すごく意識しながら演じていました。
少し自分の話になってしまうのですが、私自身もわりとオンとオフの差が大きいタイプなんです。普段“山田”のような状態で接している友人の前で、ふと“田山”っぽい部分を出すと、「体調悪いの?」「元気ないの?」と言われることが結構あって。日常生活の中でも、どこか常に“山田でいなきゃ”と思っているところがあるんです。
だから、作中で田山が「山田と同一人物だとバレたら嫌われてしまうんじゃないか」と葛藤する場面は、すごく自分に近い感情として受け止められました。演じやすいというより、自分の中にある感覚と自然に並べながら向き合えた役だったなと思います。
テレビアニメ『スーパーの裏でヤニ吸うふたり』場面写真(C)地主/SQUARE ENIX・「ヤニすう」製作委員会(C)Jinushi/SQUARE ENIX

