鎮西寿々歌「お芝居を辞めようと思ってからの再スタートだった」 覚悟を秘めて挑んだ主演作で再会した“演じる喜び”
関連 :
熱狂的なライブステージで観客を魅了するアイドルとしての日常と、恐怖に怯え、カメラの前で繊細な心理描写に挑む俳優としての非日常。この二つのまったく異なる世界を行き来する生活は、彼女の中に明確なスイッチの切り替えを生み出した。撮影期間中、友人からかけられた思いがけない一言が、その変化を物語っている。
「クランクアップしてすぐの頃、友達に会ったら『めっちゃ大人っぽくなったね』と言われたんです。撮影中は本当にお芝居に集中できる期間があって、そのモードのまま会ったからだと思います。ライブの後に会うのとは全然違うと、自分でもはっきりわかるくらいでした」。

そこで得た新たな引き出しは、決してスクリーンの中だけで完結するものではなかった。グループの活動に戻った時、彼女のまとう空気感の変化はメンバーの目にも明らかだった。そしてそれは、いつも鎮西を応援してくれるファンの心にも、これまでにない新鮮な驚きをもたらすことになる。
「合間にライブに出た時、メンバーから『なんか表現変わったね、ちょっと緊張する』と言われました。私たちのグループは自分らしさを出せる場所なので、変化することも正解なんです。だから『最近大人っぽい気分だな』と思ってメイクを変えてみたり、今までの天真爛漫な笑顔から少し『大人な笑顔』に挑戦してみたりしました。そしたらファンのみんながすぐに気づいてくれて『めっちゃいい!』と言ってくれたんです。この映画に出会っていなかったら出せなかった表現ですし、それが受け入れられたのはすごく嬉しかったです」。
■「恋しているみたい」——演じる喜びとの再会
もしも今作を通じて違和感を覚えたなら、きっと芝居をすることはないだろう。そんな覚悟を胸に秘めて飛び込んだ現場だった。しかし、すべての撮影を終えた今、彼女の心を満たしているのは、かつて失いかけた演じることへの純粋な渇望だ。
「アイドルとの両立でしんどいなと思う時もあったはずなのに、撮影に行くことが私にとっての喜びであり、原動力であり、憩いの場だったんです。演じながら自分が癒されるような感覚があって。人って、誰かに恋したらあんまりお腹が空かなくなるじゃないですか。まさにそんな感じで、映画というものにすごく惹かれて、本当にお腹が空かなかったんですよ(笑)」。
恐怖と狂気が渦巻くホラー映画の現場で、彼女が見つけたのは自分自身の魂が震えるような「ときめき」だった。過酷な挑戦を乗り越え、表現者として一回りも二回りも大きくなった鎮西は、これからもスクリーンの中で新たな顔を見せてくれるはずだ。

「『ああ、こういう感覚になれてうれしい、もっとお芝居やりたい』と心から思えました。本当にこの作品に出会えたことが人生の宝物です。普段抱えている悩みや不安をどうやって乗り越えていくかといった、人間関係から学ぶこともたくさんある作品です。一方で、シンプルに怖いものを見てゾクゾクしたい方も、幅広い方に楽しんでいただける令和一の学園ホラー映画になったので、ぜひ劇場に足をお運びください。これからも、お芝居を頑張ります」。
(取材・文:磯部正和 写真:松林満美)
映画『だぁれかさんとアソぼ?』は、7月24日より全国公開。
