二階堂ふみ、共演・長谷川博己と「距離を置いた」 戦時下の“禁断の恋”を演じた裏側
妻子ある男との禁断の恋に身を焦がす里子。激しく求め合う二人だが、「恋でもなければ愛でもないと思っていて。必然のようなもの。里子の周りには同年代の男の子がいなくて、たまたまそこに市毛がいた。二人ともが戦争の被害者であるということが、前提にあると思いました」と彼らの関係を分析。「“生きる”ということですよね。時代が違えど、人間は動物と同じで、食べること、寝ること、欲することがすごく大事。その姿を素直に描いた作品だと思います」。
市毛役の長谷川については、「お兄ちゃんみたいなところがあって。『地獄でなぜ悪い』でも共演させていただいて、もともと仲が良いんです」とにっこり。一方で、「里子と市毛は、近いようで全然違う方向を見ている二人。なので現場では、長谷川さんとはなるべく距離を置くようにしていました。長谷川さんにはいろいろなものを引き出していただいた。それぞれがかけがえのないシーンになって、ご一緒できてよかったです」と、現場での裏側を明かす。
戦場ではなく、一人の女性の姿から戦争の悲劇を見つめる本作。「戦争は悲劇しか生み出さないものだと思っています。この先に戦争が起こらないために、自分たちは何をしていけるのかを考える作品にもなりました」と20歳の彼女にも大きな刺激となった様子。憧れの銀幕女優から凛とした強さを学び、しっかりと“生”をスクリーンに刻み込んだ。(取材・文・写真:成田おり枝)
『この国の空』は8月8日より公開。