西野亮廣が語る独自の価値観「そのとき一番面白いものをやりたい」
西野の思いが詰まった『えんとつ町のプペル』。作品の最初のページには「信じぬくんだ。たとえ一人になっても」というメッセージが書かれている。「自分自身の経験もそうですが、コミュニティに属していると『ちょっとおかしいんじゃないか』って疑問に思うことってあるじゃないですか。でも外に出れば、そのコミュニティの人から色々と言われたり叩かれる。僕なんか日本でトップクラスに叩かれてますからね。『芸人辞めます、肩書変えます』と言えば叩かれ、『ひな壇に出ない』って言えば怒号……」と苦笑い。
しかし、そんなことでは西野はブレない。「好きなことを思う存分やっている」という自負があるし「色々な批判は背負わなければいけない」と達観している。絵本作家という仕事についても「僕らが子供のころに見ていた絵本って、大人が考える子供向けの絵本なんですよね。でも僕は子供のころから、自分の家が貧しいのは気づいていて、どうやって親に気を使わせずに節約したらいいかを幼稚園のときから考えていましたからね。だから今の僕らが面白がれるものを、そのまま絵本にしようという考えがあるんです。そういう絵本ってあまりないので」と独自の発想を主張する。
絵本作家として活動しつつも、本業であるお笑いライブも精力的に行う西野。「僕はトークライブをずっとやっているのですが、絵本を描いたり個展を開くようになってから、お客さんの数が一けた増えたんです。これまで自分に興味がなかった人が、絵本をきっかけにライブに来てくれるんです」と絵本を描くことの相乗効果を語るが「初志貫徹、みたいなのはもうやめてるので、飽きたら辞めます。そのとき一番面白いものをやりたいですね。農業が面白いと思ったらやるだろうし」。しかしお笑いに関しては「お客さん相手にするエンタメが好きなので、それはずっとやっていきたいですね」と語っていた。(取材・文・写真:磯部正和)