木村文乃、女優人生に迷いなし「自分が選んだ道なら、失敗しても間違いじゃない」
破壊力抜群の変顔や、生まれて初めてトライした金髪も話題となっているが、これも全て、真樹を演じる上で必要な表現方法だったと木村はいう。「変顔は何パターンもやりましたが、OKカットは完全に板尾監督のセレクトですね(笑)。演じる上では、神谷といつもこうやって遊んでるんだなぁっていう温かさが伝わればいいなという思いと共に、何でも受け入れてしまう真樹の“NO”と言えない性格を象徴しているシーンでもありました」と分析。
さらに金髪に関しては、「真樹の揺れる心情をわかりやすく表現したかったのだと思います。ただ、私に限定したことですが、金髪にすると、世間の目がかなり厳しくなるんだなって実感しました。普段はラフな服を着ることが多いのですが、それがかえって悪い印象を与えてしまったようで…」と苦笑い。それでも役のためにと早くから髪を染めたという木村は、周囲の評判をよそに「鏡を見ても驚かないくらい、金髪が馴染んでから始めたかった」とこの役に懸ける思いをのぞかせた。
競争の激しいお笑いの世界で日々奮闘する神谷と徳永。木村自身も全てが順風満帆ではなく、時にはアルバイトをしながら、女優としての将来を案じていた時期があるだけに、この映画から学んだことも多いという。「芸人として酸いも甘いもかみ分けてきた板尾監督ならではの“責めない優しさ”を感じました。好きで選んだ自分の道、たとえそれが成功しても、失敗しても、決して間違いじゃない。悔やんだり、否定したりしなくていいんだよと、改めて教えていただいた気がします」。真樹役でさらに進化を遂げた木村の女優人生に、もう迷いはないようだ。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『火花』は11月23日より全国公開。