池田純矢、若さは「今しかない特権」 若き演出家の内に秘めた確固たる信念

池田純矢は、俳優であると同時に演出家でもある。「演劇とは娯楽であるべきだ」という理念から、舞台『エン*ゲキ』を立ち上げた彼は、『君との距離は100億光年』『スター☆ピープルズ!!』を経て、弱冠25歳にして演出家としてのキャリアを固めつつある。第3弾となる『ザ・池田屋!』の上演を来年4月に控える中、若手俳優が演出を手掛けることの意義や11度目の共演を果たす鈴木勝吾について、池田に話を聞いた。
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新選組に襲撃された尊王攘夷派志士の超秀才・吉田稔麿(鈴木)を中心に、「池田屋事件」をコミカルに描く本作。前作、そして前々作はSF作品だったが、本作で史実を題材とした理由を聞くと、池田は「自分が色々な現場で学んできたことだったり、面白いと感じたことだったり、そういうのを一番詰め込める題材が、これかなと思ったんです」と説明する。
劇中では、軽妙な台詞回しや現実からの引用が笑いを誘う。「基本的に『エン*ゲキ』はコメディを謳っているので、笑ってもらってハッピーな作品になれるようにっていうところを詰め込んでいきました」と前置きしつつ、「1人の好みだけで突き進んでしまうと、みんなが楽しめるエンタメって言えないと思って。だから、自分の好みとか得意・不得意を一旦抜きにして、全要素の笑いを入れた」と解説。
演出家としてのスタンスを「理想に対して、なんとなく『これをやってください』と言うのが嫌」と明かす池田は、あらゆる台詞を理論に基づいて作っているそうで、それが自信に繋がっているという。「全部の台詞に対して“何故なら”を用意するようにしていて、それがある分、ベテランの方だったりとか、同世代の役者に対しても、『ここはこうだから』って自信を持って言える。そこは変わらずやっていこうと思っている部分です」。
また、若手が演出を務める意義を聞くと「未熟な反面、特権でもあると思っていて。やっぱり年を取って色々なことを知ってベテランになればなるほど、出来ないことも生まれてくると思うんです」と回答。「勢いだったりとか、思い切りだったりとか。あとは、この年代の自分だから見えてる景色も絶対ある」と話し、「同じ役者だから、同じ年代だから、若手だから言えることとか、求められることもあるのかなと思っていて。だから色々な意味で、まだ若いっていうのは、今しかない特権」と目を輝かせる。