松岡茉優、リアルで魅力的な芝居を見せるコツは「欠点を作ること」

意外に思えるかもしれないが、女優・松岡茉優は映画『勝手にふるえてろ』で初めて映画の主演を務めた。その演技巧者ぶりが爆発している本作に限らず、常に見る者の印象に残る芝居を見せる松岡に、劇中で演じた変わり者のヒロインや、撮影中の苦労が報われた瞬間、そしてリアルで魅力的な芝居を構築するコツなどについて話を聞いた。
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綿矢りさの同名小説を基にする本作は、恋愛に臆病なOLのヨシカが、10年間片思いを続けているイチ(北村匠海)と、会社の同期であるニ(渡辺大知)の間で揺れる姿を描く。人間関係において不器用なヨシカについて松岡は「社会に生きている人たちの、葛藤や、狭さや、苦しみ、悲しみ、寂しさの集合体だなと思っていて。『ああいう気持ちになるところ、分かるな』とか、すごく共感しました」と語る。
3度目のタッグとなった大九明子監督からの演技指導はほぼなく、「すごく自由にやらせていただきました」というが、モノローグや空想を中心とする独り相撲的な芝居には苦労したそう。これまでの経験を基に一つ一つのシーンを演じていったものの「何が正解かが分からなくて、たぶんここでヨシカは気づくはずだとか、たぶんここで怒るはずだっていう、“たぶん”にしかならなかった」と告白する。
しかし、その“たぶん”は、観客賞を受賞した第30回東京国際映画祭で報われた。観客賞上映に参加した松岡は、「自分が『こうだ』と思ったところとは全然違うところで笑っていただいたり、『ここはこう感じてほしい』って思うところをストレートに感じていただけたり」と笑顔で回想。「ご覧いただいた方の感じ方はさまざまだと思いますが、何かしらみなさんの中に残るものがあればうれしいです」と笑顔で語る。