仙道敦子、「お帰り」の言葉に胸熱く 23年ぶり復帰作に休業中の経験活かす
この日、撮影が行われていたのは、すずが9歳の頃のシーン。なかなか出先から戻らないすずを心配し、やがて帰ってきたすずを軒先で叱りつつも優しく抱きしめる。キセノの溢れんばかりの母性が伝わってくるシーンだったが「そういう部分は、実生活に助けられているのかもしれません。全て、この23年の間で経験してきたことなので。その意味で、久しぶりのドラマで演じるのが母親役でよかったのかもしれませんね」とほほ笑む。
衣装合わせで土井から「お帰りなさい」と声を掛けられ「ただいま」と返しながら「思わず胸がジンとしちゃいました」と嬉しそうに語る。スタジオに足を踏み入れる前は不安や緊張もあったというが「不思議と現場に入ると落ち着きました」とも。いや、いまでも落ち着かない気持ちがなくなったわけではない。「現場のみなさんの動きに助けられていますね。ひとりで舞い上がって、でもそれを見せないようにしつつ、心の中でザワザワしながらスタジオにいます(笑)」。
主演の松本穂香に話が及ぶと「すっごくかわいいです。それしか言葉が出てこない」と顔をほころばせる。松本は現在21歳だが、その年齢の頃と言えば、仙道はちょうどドラマ『クリスマス・イブ』に主演していた頃。「顔を合わせると『体調は?』『ちゃんと寝てる?』とか気になっちゃいます。自分にもこんな頃が…と思うんですけど、正直、当時のことはすっかり忘れてますね(笑)。今回、3世代のすずちゃんとの芝居があるんですけど、人生の縮図を見ているようで、自分が子役だった頃のことに思いを馳せながら、ひとりで胸を熱くしています」。(取材・文・写真:黒豆直樹)
日曜劇場『この世界の片隅に』はTBS系にて、7月15日より毎週日曜21時放送。