趣里、過去の挫折と向き合い「他人事と思えない」難役に共感
今回監督を務めた関根光才とはクランクイン前、過去の嫌だったこと、苦しかったこと、どうしようもないことなど、パーソナルな部分も含めいろいろと話していったという。そういった役と、そして“自分自身”とも向き合う事前の準備作業もあり、彼女いわく「寧子という役と仲良くなれた」。なのでヒリヒリするような画面とは裏腹に、撮影はとても楽しく進んでいったのだとか。
「俳優って、不思議ですよね。どんなシーンでも自分がどこかに出るお仕事。でもだからこそ、私も寧子という役に救われたのかな。次に進むためにも、あの時のことと向き合えてよかったなと思っています」。
また、バレエに挫折し絶望していた彼女を変えたのは、たまたま観に行った舞台作品だった。その体験が彼女を俳優へと導くことになるのだが、自分がエンターテイメントに救われた経験があるからこそ、この映画にかける思いも大きい。
「いろんな見方ができるとは思いますけど、この作品で観てくださった方の心が何か少しでも動いてくれたらうれしい、そう思っています」。
自分がかつて感じていた、エンターテイメントの持っている力を信じたい。そう語る彼女の表情は、“演じる”という仕事への喜びに満ち満ちていて。そんな趣里がまさに全身全霊で挑んだ主演作、観た人の心は必ず揺さぶられるはずだ。(取材・文・写真:川口有紀)
映画『生きてるだけで、愛。』は、11月9日より全国公開。