本上まなみ、子育てで実感「子どもは自分とはまったく別個の存在」
映画ではスケジュールやロケ場所の都合などによりラストシーンを最初に撮ることなども珍しくないが、今作の場合は割と物語の時系列に沿って進行したそうだ。季節は、次第に寒い冬へと向かって行ったという。道南とはいえやはり北海道。寒い場所でのロケならでは、美容面などで気をつけることはあるのだろうか。
「基本的にはあまりないのですが、メイクのスタッフさんがみんなにすごく気配りをしてくださっていました。顔がこわばらないように暖かく保つようにいろいろなもの、たとえば血行を良くする足のマッサージ器ですとか、スチームの出る美顔器だったりを準備してくださったんです。何も不安なく撮影できました」。
本上まなみ、『そらのレストラン』インタビュー
亘理と一人娘の潮莉(庄野凛)と、3人で幸せな家庭を築いていること絵。現実の本上も2児の母親だが、日常生活ではどのような家族図を描いているのだろうか。
「子どもを育てて感じるのは、自分とはまったく別個の存在だなって。いくつかは私に似ている部分、いくつかは夫に似ている部分、いくつかは祖母に似ている部分もあって、いろいろな要素が見え隠れはしますが、だからと言ってその通りには絶対しない。思いもしない行動をしたり、考え方を持っていたりして、何かやりたがっていることも、なんとなくは分かるけれど、こちらが思ったようにはならない。本当にお借りしているものを育てているって感覚に近いですね」。
本上自身は今後、女優業とどのような思いで向き合っていくのだろうか。
「スカウトされて入った世界なので、本当に自分がやりたかったことなのかって言われると、たぶん違うかもしれません。ただ、父親にも言われたのが、やっぱり求められて作品に出る、何かを表現するっていう職業は、他にはあまりないと。求められるのはありがたいことなのだから、その機会を与えてもらえたと思ってがんばりなさいって。ただ、身体を壊すようなことをしてまでやる必要はないからって、その言葉だけをもらって、いまも私はここにいるんです。続けて来られたのは本当に良かったし、自分が表現できることは何なのか、これからも考えていきたいなと思っています」。
思慮深く、一つ一つの言葉を大切に発する。品のある女優だ。(取材・文・写真:志和浩司)
映画『そらのレストラン』は1月25日全国公開。