『なつぞら』井浦新、ヒロイン広瀬すずの「栄養になる存在に」

現在放送中の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合/毎週月〜土曜8時ほか)で、広瀬すず扮するヒロイン・奥原なつの絵の才能を見い出し、進む先に光を当てる東洋動画のアニメーターのリーダー・仲努(なかつとむ)を演じる井浦新。21年にも及ぶ俳優人生のなか、初の連続テレビ小説への出演となった井浦が、彼なりの視点で朝ドラの魅力を語った。
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「いま、朝ドラに出会えたことが非常に良かったと思っているんです」と語った井浦。是枝裕和監督がメガホンを取った映画『ワンダフルライフ』(1999年公開)で、俳優デビューを果たしてから20年以上が経過しているが「デビューした頃だったら、やれていないだろうし、やらせてももらえなかった。10年前でもまだちょっと違っていたと思う」と“いま”のタイミングでの出会いが自身にとって大きいことだと強調する。
その理由について「連続テレビ小説の現場を経験して『朝ドラだからこうしなければいけない』というものがないことを知りました。伝わりやすい表現と、伝わりづらいであろう人間の目に見えない表現を、短い時間のなかでどうやって作品に落とし込んでいくか、キャスト、スタッフを含めてみんなチャレンジしているんです」と100作という歴史を重ねつつも、常に新しい表現を追い求める現場に刺激を受けているという。
だからこそ「映画やテレビドラマなど、いろいろな場所で面白さや大変なことを自分から見つけにいけるようになった」という“いま”連続テレビ小説に出会ったことが、井浦にとっては「良かった」と思えるのだという。
「話には聞いていましたが、家族や親せきが喜んでくれるんですよね」と笑顔で語ると「仕事で地方に行った際、ご年配の方が僕を指さして『昨日見ましたよ』と声をかけてくださり熱心に感想を話してくれるんです」と反響の大きさにも驚いたという。「やっぱり朝ドラの底力ってすごいなと感じました。自分の芝居の表現が、広く多くの方の目に届くというのは、表現者としてはすごくありがたいことです」。
井浦が演じる仲は、アニメーションへの熱い思いを抱き、その熱量で多くの人の人生に多大なる影響を与える。「仲努を演じる上で、大事にしているのは“好き”というものに対しての情熱が尋常じゃないこと。日本のアニメーションの草創期に、道を切り開いていった人。その熱量が彼の特徴なんです。劇中ではいつもにこにこしていますが、アニメーションに対する愛が強いので、シビアで厳しい部分も持ち合わせている人なんだろうなという思いで演じています。意外と切れやすいタイプだと思いますよ」と役作りについて語っていた。
仕事に対する熱い思い―。ストイックに役柄に向き合う井浦と共通点が多いと感じられるが「僕は大先輩方が歩きやすくしてもらった道を進んでいるだけですから」と謙遜する。しかし「自分の仕事や趣味に対して、好きという気持ちでひたすら真っすぐ進むことや、情熱の度合いという部分では、仲さんの気持ちはイメージしやすかった」と自らとリンクする部分もあったという。