クランクイン!

  • クランクイン!ビデオ
  • クラインイン!コミック
  • クラインイン!トレンド

  • ウェブ全体を検索
  • このサイト内を検索

“失われてしまった場所”に帰ること――『風の電話』で諏訪敦彦監督が描いたもの

映画

映画『風の電話』で18年ぶりに日本でメガホンを取った諏訪敦彦監督
映画『風の電話』で18年ぶりに日本でメガホンを取った諏訪敦彦監督 クランクイン!

 2001年製作の映画『H story』以降、フランスを拠点に活動していた諏訪敦彦監督が、実に18年ぶりに日本でメガホンを取った最新作『風の電話』。東日本大震災で全てを失った主人公・ハルの “さすらいの旅”を通して、諏訪監督が本当に描きたかったものとは? 期待の新人女優・モトーラ世里奈を中心に、西島秀俊、三浦友和、西田敏行ら日本を代表する俳優陣が紡ぎ出すシーンを振り返りながら、本作に込めた思いを語った。

【写真】主人公・ハルを優しく包む名優たちの演技に注目『風の電話』フォトギャラリー

 本作は、震災以降、“天国につながる電話”として、3万人以上の人々が訪れている電話ボックス<風の電話>をモチーフにした初の映像作品。岩手県大槌町で被災し、家も家族も失った少女・ハルは、広島の親戚の家に身を寄せながらひっそりと暮らしていた。そんなある日、これまで育ててくれた伯母が突然倒れてしまう。ショックを受けたハルは、家にも帰らず、行き先も決めず、そのまま行く当てのない旅に出る。

■日本中を旅しながらハルの成長を見守るロードムービー


(C)2020映画「風の電話」製作委員会

 この企画が立ち上がった当初は、西日本のある町で被災した主人公が、<風の電話>の存在を知り、自らの意志で大槌町に一人向かうという物語だった。これに異を唱えたのが諏訪監督。「僕はむしろ、ハルが大槌町に“帰ってくる”ことに意義があると思いました。震災から8年、自分が生まれ育ち、記憶もしっかりと残っているのに、もう失われてしまった場所…そこに戻ることで、より重層的に見えてくるものがあるんじゃないかと。しかも、行く当てのないさすらいの旅の中から、『故郷に帰りたい』という気持ちが彼女の中に自然と芽生えてくる…そんな物語にしたかった」と胸の内を明かす。

 ほぼ順撮り(物語の進行に沿って撮影)で始まったハルの“さすらいの旅”。ロードムービー初体験の諏訪監督は、「ハルと一緒に旅をしながら、改めて日本を見つめ直すいい機会になった」と述懐する。主人公の女子高生ハル役を射止めたモトーラは、『おいしい家族』『ブラック校則』などで異彩を放つ、今最も注目される女優の一人。「会った瞬間、“この人がハルだ”と直感した」という諏訪監督は、「彼女が存在しなかったら、ハルも存在しなかった」と言い切るほど、モトーラなくしてこの映画は成立しなかった。


(C)2020映画「風の電話」製作委員会

 そんな稀有(けう)な女優・モトーラを、旅の要所で出会い、サポートするのが、西島、三浦、西田のベテラン勢だ。「西島くんとは、『2/デュオ』(1997)で、三浦さんとは『M/OTHER』(1999)でご一緒させていただいたのですが、僕はお二人のことを仲間であり、家族だと思っているので、モトーラさんが演じるハルを“そばで見守ってほしい”という思いがありました。西田さんに関しては、被災地である福島のご出身ということもありましたが、高校生の時に『新・坊っちゃん』(NHK/1974)の山嵐役を観て以来、大ファンだったので、今回、ご出演を快諾してくださって本当にうれしかったです」。

1ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る