森高千里、21年ぶりの全国ツアーで感じたライブへの思いと日本の“街”の素晴らしさ
昨年、21年ぶりに36ヵ所、37公演という全国ツアー「この街ツアー2019」を行った歌手の森高千里。その際に訪れた全国の“街”と森高自身の素顔が詰まったフォトエッセイ『森高千里「この街」が大好きよ』(集英社)が25日に刊行された。1987年に「NEW SEASON」で歌手デビューしてから33年。途中、結婚や出産、子育てが中心となり音楽活動から離れた時期もあったが、森高が今一番大切にしているライブ、そして日本各地をまわって歌を届ける旅で感じた思いを聞いた。
【写真】全国ツアーで日本全国を旅した森高千里
21年ぶりとなった昨年の全国ツアーでは県庁所在地だけではなく、初めて訪れる街でもライブを開催した森高。このツアーでは、「せっかくだから自分の足ですべての街を歩いてみよう」と会場入りする前に、周辺の観光名所だけでなく、その街の人々の生活を感じることができる商店街、自然あふれるスポットを巡り、ご当地グルメも食べ回った。
ライブのMCでは、その街歩きのエピソードを話したり、ツアータイトルにもなっている『この街』を歌うときには、曲中のセリフに地元の名産品を織り込んで会場を盛り上げた。さらに全国ツアーに合わせて開設したインスタグラムには、街歩きの写真を投稿しファンを楽しませた。
『森高千里「この街」が大好きよ』は、昨年1年間の全国ツアーの旅の記録を集めたフォトエッセイだが、森高は「本になるとは思っていなくて、マネージャーさんやメイクさんが携帯のカメラなどで撮ったものなんです」と裏話を明かし、「だからこそ、素の自分が出ていると思うんです」とはにかむ。旅の写真と共になかなか見ることができない普段着姿の森高を楽しめるのも見どころだ。
「宝物のような本になりました」と笑顔を見せる森高だが、そこにはまた全国ツアーを行えたという願いも込められているように感じられた。
デビュー以来、20代は精力的にツアーを行っていた森高。そこから結婚、出産、子育てで“歌うこと”から遠ざかっていたが、デビュー25周年となる2012年をきっかけにライブ活動を再開する。「25周年のときに周りの人たちから『おめでとうございます』とか『なにかやらないんですか』という声をいただいて、すごくうれしかったんです。自分になにができるのか、なにがやりたいのかを考えたとき、まず、ライブをやりたいという思いが強かったんです」。
ブランクもあり「できるのか」という不安もあったというが、それよりも「ここでやらなければ、もう二度とできないだろうな」という気持ちが勝った。そして森高のエンジンが掛かったのは家族のサポートがあったからだ。「子どももだいぶ大きくなっていましたし、主人に相談したときも『いいんじゃない』と応援してくれたので、一歩踏み出せたと思います」。