中村蒼 『エール』鉄男として受け取った“忘れられないセリフ”

NHK連続テレビ小説『エール』(NHK総合/月曜~土曜8時ほか)にて、主人公・裕一(窪田正孝)の幼なじみで、正義感あふれる鉄男を好演している中村蒼。コロナ禍による約2ヵ月半の撮影休止期間を乗り越え、先日クランクアップした本作。来年30歳を迎える中村は「貴重な1年を過ごすことができました。次に向かう上でも、自信になった」と念願の朝ドラ出演を振り返る。1年の共演を通して肌で感じた窪田や山崎育三郎のすごさ、そして、作中で鉄男として受け取った忘れられないセリフについて語ってくれた。
【写真】中村蒼が演じる鉄男 『エール』第108回より
■ “もう縁がないのかな” 諦めかけていた朝ドラ出演
裕一と共に故郷・福島を訪ねた鉄男 『エール』第108回より(C)NHK
数々の名曲を生み出した実在の作曲家・古関裕而をモデルに、音楽で人々を励まし、心を照らした夫婦の波乱万丈の人生を描く本作。中村が演じる鉄男は、子ども時代に裕一と出会い、のちに作詞家となって、裕一、久志(山崎)と共に“福島三羽ガラス”と呼ばれ人気を博す人物だ。
朝ドラ出演が念願だったという中村。「これまでも何度かオーディションを受けていましたが、年齢を重ねるにつれて“もう縁がないのかな”と思っていました」と諦めかけていたことを明かし、「でも“やっぱり出たい”という気持ちがあって。そんな中で鉄男役をいただけて、本当にうれしかった」と述懐。周囲の反響は大きいようで「役名で声をかけていただくこともあります。僕の両親は普段、あまり仕事に関してなにか言ってくることはないのですが、今回は“楽しみにしている”と言ってくれたり。そういった反応を肌で感じて、改めて“朝ドラに出られてよかったな”と感じました」と穏やかな笑顔を見せる。
クランクインは2019年10月。1年以上の月日を鉄男役と一緒に過ごし、役者として得たものは限りない。「朝ドラには個性豊かなキャラクターがたくさん出てきますし、それを演じる方々のお芝居も素晴らしい。その中で自分が演じる役の影をいかに色濃くしていくかという大変さも感じました。人間というのは複雑で、いろいろなことを考えて生きているもの。長い時間をかけて、人間のあらゆる面を表現できるということは、大きな喜びでもありました」。
■ 窪田正孝&山崎育三郎との共演は「かなりプレッシャー」
『エール』第108回より(C)NHK
“福島三羽ガラス”として裕一、久志と支え合い、共に成長していく鉄男。中村自身も、窪田と山崎からたくさんの刺激を受けたという。
窪田については座長としての才能にほれ込んだという中村。「周りを引き立てつつ、受け止めるお芝居もされていて、朝ドラで主演を張る方って、こういう方なんだなと思いました。普段の窪田さんは、いつもニコニコしていて。スタッフさんともコミュニケーションをたくさんとって、カメラが回った瞬間に裕一になる」とその切り替えの早さを絶賛。
一方、山崎については「育さん(山崎)は、歌の才能も素晴らしい。今回はミュージカル界の方もたくさん出演されていましたが、みなさん“育さんは別格だ”とおっしゃっていました。お芝居もすごくて、生まれながらの華がありながら、痛みも抱えていく久志が日本中から愛されるキャラクターになったのは、育さんが演じたからこそ。そんなお2人とご一緒できて本当に楽しかった」と出会いに感謝しつつ、「その反面、僕としてはかなりプレッシャーもあって(苦笑)。相当な緊張感を持ってやっていました」と真摯(しんし)な思いを明かす。