クランクイン!

大石継太&朝海ひかる、信頼で結びついた同志が誘う“言葉の美しさ”あふれる清水邦夫の世界

演劇

(左から)大石継太、朝海ひかる
(左から)大石継太、朝海ひかる クランクイン! 写真:篠塚ようこ

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大石継太

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 大石継太と朝海ひかるのW主演作、unrato#14『夢去りて、オルフェ』がこの夏に上演される。本作は清水邦夫が1986年に木冬社結成10周年、および紀伊國屋書店創業60周年記念提携公演として初演、1988年に再演されたもので、今回は38年ぶりの上演となる。物語は昭和14年の北陸。火災で廃墟となった遊園地を舞台に、二・二六事件で処刑された北一輝の生存を信じる教師・桂木一機、その義妹・ぎんほか、周囲の人々との人間模様が描かれる。作品に挑む一機役の大石とぎん役の朝海に清水作品の魅力など話を聞いた。

【写真】大石継太&朝海ひかる、撮りおろしショット!

◆想像力を搔き立てる“言葉の美しさ”が清水邦夫作品の魅力

――出演が決まった際の第一印象をお聞かせください。

大石:24~5歳の時に私はこの作品を観ておりまして、平幹二朗さん、松本典子さんが一機とぎんを演じられていました。すごく細かな部分を覚えているわけではないのですが、平さんや松本さんの存在感や熱量がとにかくものすごくて、ただただ圧倒されたことを覚えています。当時は僕も芝居を始めたばかりの頃だったので、とても難しいお芝居、という印象でしたね。そうか、あの難しい作品を僕がやるのか、と思いました。

朝海:この作品に出られることが、正直にうれしかったです。清水邦夫さんの作品に出演したことはありませんでしたが、『楽屋ー流れ去るものはやがてなつかしきー』は拝見していて。演出は大河内直子さんでしたし、あの素敵な世界に私が入れるのか、と。ただ、きっと難しいだろうとも思っていて、うれしさの反面、ちょっと緊張もしています。清水さんの書かれているポエムのようなきれいな言葉を、お客様に上手く伝えられるか――気を引き締めなおすような、これは大変な作品になる、とお話をいただいたときに自分の中で感じたことをすごく覚えています。

――今回、実に38年ぶりの再演となります。長い期間を開けての再演に際し、どのような想いでいらっしゃいますか。

大石:書かれたのは40数年ほど前。社会も大きく違ってきています。「女のくせに」という言葉が出てきたり、同性愛的な描写があったりしますが、現代の方が受ける印象と、当時の人が受ける印象は絶対に違いますよね。でもそこは、演出や役者、衣装などいろんなことを使って、乗り越えられることだと思います。それに、清水さんの言葉の美しさは変わらないので。普遍的で、これから先の時代でも受け入れられる作品だと思います。

朝海:当時はもうすぐバブル、という、いろいろな矢印が上に向いている時代。その社会背景は、令和の今とは違いますよね。作品で描かれている時代は昭和14年ごろ。戦争に向かう中で、経済が賑わってきていた頃で、バブルの頃と似ているのでは、という話もあります。そのあたりが違和感になるのかもしれませんが、演劇を楽しんでくださる方々は、そのギャップも含めて楽しんでいただきたいですね。

――清水作品の魅力はどのようなところにありますか。

大石:先ほど、朝海さんもお話されていましたが、やっぱり言葉の美しさですね。「きりきりと蒼ざめているような」など、みなさんの想像力を掻き立てるような表現がいろいろとあるんです。

朝海:擬音が多いですよね、ヨレヨレ、メタメタ、おたおた……。

大石:そうですね。昔に何本か清水さんの作品に出させていただいた時に、「戯曲を書くのに、ここで点を打つか、丸にしようかを寝ずに考えているのに、お前らが勝手に繋げたりするな」と演出の蜷川幸雄さんから言われたことを、よく覚えています。先日、大河内さんも近いことをおっしゃっていましたね。清水さんが本を書くということにどれほどの熱量と情熱で向き合ってきたのかを、蜷川さんが清水さんと身近に話す中で受け止めていたからこその言葉だったのだと思います。そして、“狂う”という部分も清水戯曲にはたくさん出てくるので、そこも魅力ですね。やる側はなかなか難しいですが。

朝海:狂気と現実の狭間のようなあやふや感は、観ている側としては想像力を掻き立てられますし、多方面から観ることができますから、ひとりひとりのお客様の心のどこかに刺さる、何かがある。そこは、今回の作品にも感じています。ただ、この『夢去りて、オルフェ』は、他の清水戯曲と比べても何か毛色が違うようにも感じています。そこを考えながら稽古をしていかなければ、と思っています。

――大石さんは初舞台も清水戯曲だったとか。

大石:『タンゴ・冬の終わりに』という作品でした。ですが、その当時は演劇の何たるかも分からず、ただ大きい声を出せばいいと(笑)。セリフもあまりなかったので、いかにして目立ってやろうかと、そんな変なことばかり考えていました。清水さんにとっても失礼でしたね。でも、今この年になって清水さんの作品に再び出会えたことはとてもうれしいです。初心に帰るような、昔を思い出せたような感覚ですね。

――演出の大河内さんとどのような話をされましたか。

大石:大河内さんは役者にまず自由にやらせてくれる感じがしています。

朝海:一機とぎんは、子どものころから“でっちあげ”のような会話をするのが好きで、大人になってもそこは変わらないんです。そういう関係なので、どうしても日常のようにリアルにしゃべってしまうんですが、もうちょっと“芝居がかった”やりとりをするんですね。そこがとても面白くて、それが2人の関係なんだな、と。お互いに本音は分かっているのに、本音ではしゃべれない2人。大河内さんのノートやお話を聞いて、そんなことを思いました。

大石:あとは、清水作品だからということもあると思いますが、僕らだけじゃなくみんなに、「言葉を大事にする」、ということは伝えていますね。

朝海:確かに、一語一句変えないで、とおっしゃっていました。

大石:セリフのひと言、その音の高さにまできっちりとこだわっているように思います。

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◆自分本位にならないように周りをよく見て稽古に臨みたい

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【公演概要】

unrato#14『夢去りて、オルフェ』

◆日程・会場
8月21日~30日:東京・東京芸術劇場 シアターウエスト

◆作
清水邦夫

◆演出
大河内直子

◆音楽
三枝伸太郎

◆出演
大石継太
朝海ひかる

加納幸和(花組芝居)
舞羽美海
久保田秀敏
田野聖子
佐奈宏紀
平体まひろ(文学座)
小柳喬(演劇集団円)
※小柳喬の「柳」は旧字体が正式表記

中村茉夢
田仲ゆら
綾部遥斗
田﨑斗翔
泉愛菜


【公式サイト】https://ae-on.co.jp/unrato/yumesariteorpheus/
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