藤原紀香、コロナ禍で強く感じた“一期一会” ヒューマンパワーの大切さを再認識
女優活動、ボランティア活動と精力的にこなし、内面からあふれる魅力に磨きをかける女優・藤原紀香。1年半ぶりの舞台出演となる『魔界転生』では、小池徹平演じる天草四郎の姉・お品という物語のカギを握る女性を演じる。「気高い魂と覚悟を持って演じたい」とほれ込む役柄への思いや、これまでの人生に影響を与えたターニングポイントなど話を聞いた。
【写真】変わらないスタイルと内面からあふれる輝きがますます美しい藤原紀香
★“愛と慈しみ”あふれる役を「大きな使命を背負い覚悟を持って演じたい」
山田風太郎の人気伝奇小説を原作に、劇作家マキノノゾミ脚本、堤幸彦演出、上川隆也主演で上演される舞台『魔界転生』は、2018年の初演時には10万人の動員を記録した人気アクション・エンターテインメント時代劇。島原の乱で処刑された天草四郎が徳川の世を恨みよみがえらせた宮本武蔵ら剣豪に立ち向かう、柳生十兵衛の姿を描く。藤原は今回の再演から本作に参加する。
「前作で感銘を受けた舞台でしたので、このお役が私のところに来てくれたというご縁、巡り合いへの感謝の気持ちでいっぱい」と出演の喜びを明かす藤原。新しくなった台本を読み、島原の乱について深く調べてみると演じるお品や天草四郎時貞に対する深い思いを抱いたという。
「島原の乱については歴史の教科書で習いましたがそれくらいの認識でした。今回、日本の歴史が始まって以来の大殺戮(さつりく)だったと知りました。宗教の自由を奪われた3万7000人が命を落とし、さらし首にされた。物語では徹平君演じる四郎が敵役とされていますが、世を呪ってしまう気持ちも理解できる歴史の真実がそこにあり、四郎は敵じゃない、懸命に世を生きた普通の16歳の男の子だったのだと思います」と熱い気持ちがあふれる。
「なんとしてでも彷徨(さまよ)える四郎の魂を救いたい。それはきっと私にしかできないことだとお品は感じているんです。この物語ではほとんどの人物が剣を持ち戦います。しかし私が持つものは“愛と慈しみ”。大きな慈愛の気持ちで、世を呪おうとしている魔界衆となってしまった愛する者たちの魂を救わなければ…そんな思いで日々つとめています」。
お品は原作には登場しないキャラクターだが、「お品のような女性はいたのだと思って演じています。生き残ってしまった自分にできること、それは愛する者たちの魂を救うこと。“はらいそ”(天国)へ誘う…この大きな使命を背負い、気高い魂と覚悟を持って生きているのがお品です。最愛の者たちのために生きた人生が、結果、世の中を救うことにつながる…大変やりがいのある大事なお役を賜り、本当に幸せです」。
舞台『魔界転生』で天草四郎時貞の姉“お品”を演じる藤原紀香
お品との共通点を尋ねると、「演じる際、役との共通点は考えることはあまりしないんです」と意外な答えが。「もちろん、自身であればどうするかなどは考えます。が、演じる際は、このお品というお役の生き方を自分にそのまま入れていくという役作りなのだと思います。“崇高な魂を持つ稀有(けう)な女性だ”という尊敬の念を持ってこの役を演じています。もしお品という人が本当にこの世を生きていて、今、天から見てくれていたなら、“私はこんな思いであの時代を生き、駆け抜けた。自分の存在をこのように表現してくれたのですね。ありがとう”と言ってもらえるように日々つとめようと思っています」。
天草四郎を演じる小池とは共演も多く、なにかと関わりは深い。「徹平君のデビュー当時、共演したこともあり、そして、同じものを見つめ前に進む役を演じることも多かったので、本当に肉親みたいに感じている部分があります。今回は、わたし自身、四郎も知らないある秘密を抱えているので、ここでは言えないのですが、四郎には特別な感情を心に宿しています。フライングで彼が飛ぶ時も『今日も安全に飛べますように』と、舞台袖で願いを込めて見ていたり、もう親みたいですね(笑)」。