藤原紀香、コロナ禍で強く感じた“一期一会” ヒューマンパワーの大切さを再認識
★阪神淡路大震災とアメリカ同時多発テロで経験した考え方の変化
今年6月に50歳を迎える藤原。これまでの人生を振り返っての転機を尋ねると2つの大きな出来事があるという。
「1つは1995年の阪神淡路大震災。まだ大学生でしたので両親に反対を受け本格的に上京はしていませんでした。当時、多くの著名な方が避難所に炊き出しや激励に来てくださって…。私の目指す世界というのは、舞台やテレビなどで夢や勇気を表現して伝えるだけでなく、人のために何かをすることによりそこに希望や光が集まり、社会にいい影響を与えたり、少しでも良い方向に導くことができる職業でもあるのだ、と気付きました。その後、この世界に入っても、自身も先輩方のように社会の中でできる、人のために役立つことを率先してつとめたいと、そう思うようになりました。
2つ目は2001年のアメリカ同時多発テロ事件。NYにもたくさんアメリカ人の友人がいるので、すぐ現地に渡りましたがその状況にがくぜんとしました。同時に、爆撃されているアフガニスタンで普通に生きている子どもたちはどうなっているのだろう、現場に行かねば分からないこともあるのではないか、と帰国後、自身で企画書を書きプロデューサーに持ち込み、アフガニスタンへの取材につながりました。
その旅をきっかけに感じたことがたくさんあり、日本を含めた世界の子どもたちの教育サポートをする“スマイルプリーズ世界子ども基金”というNPOを立ち上げました。ライフワークとしてがんばっていこうと心に決め19年目になりますが、これまでアフガニスタン、カンボジア、ネパールに学校を建て、教科書などソフト面でもサポートを続けています。コロナ禍で現地に今は行けないですが、早く子どもたちに会いに行きたいです」。
女優、ボランティア、歌舞伎役者の妻として忙しい日々が続くが、充実感に満ちている様子。
「自分の夢や欲のためだけじゃなくて、なにかしら社会の中で役に立つことがあればどんどん参加していきたいと思っています。NPOもそうですが、ボランティアというのは継続が大事。無理をせずできる範囲で続けていくことが大切なのだと感じています。ひとりの力は小さいけれど、賛同してくださる方々と共にできるだけ継続していきたいと。
仕事ではないそんなライフワークから得られる、愛や優しさのエネルギーはとても大きくて、それが俳優業にもつながってくると思います。役者業、ライフワークであるボランティア活動、そして役者の妻としての仕事、学ぶことの多いこの三つがいい影響を与え合い、私にかけがえのないものを与えてくれるのです」。
ミス日本グランプリ大会でグランプリを受賞してから約30年。これからどんな女性を目指していきたいか尋ねた。
「自身はなんであるのか、そんな肩書きなど自身が考えるのは意味がないと感じています。それよりも大事なのは、ひとりの人間として人間力を向上させること。この人に会えば元気をもらえた、というような内面から輝いている人でありたいなと思います。そして、いくつになっても、どんな現場でも、学び続けたい。人との出会いを大切にして、年齢、立場、関係なく尊敬できる人たちから多くのことを学びたい。そして、この先の人生まだまだいろいろなことが起こると思いますが、生きてるだけで幸せなのだから、と、たとえ悲しいことが起こってもすべてを糧にして成長していきたいと思うんです」。そんな力強く前向きな、藤原紀香らしい言葉が返ってきた。(取材・文:編集部 写真:高野広美)
舞台『魔界転生』は、東京・明治座にて5月18日~28日上演。※詳細は舞台公式HP参照。