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『青天を衝け』“栄一の娘”に抜てき・小野莉奈21歳、「女優を辞めたい」と悩んだ時間も必要だった

エンタメ

■ 小6のとき魅了された芝居の面白さ 家族に黙ってオーディションに応募


 小野は17歳で女優デビュー。彼女が女優を志した始まりは、小学6年生の頃のお遊戯会で主役を演じたことにまでさかのぼる。そのとき芝居の楽しさに魅了されたという小野は「その感動がずっと忘れられなくて、そこからずっと女優さんになりたいな、と強く思っていました」と述懐。しかし、その思いは家族にも明かさず、胸に秘めたままだった。

 「割と気持ちが変わるタイプ」だと自身を分析する小野だが、女優になりたいという気持ちはその後も消えることはなかった。「高校2年生のときに、そろそろ動き出さなきゃダメだと思い、自分でオーディションに応募しました。家族には最終面接の直前まで言わなかったので、びっくりさせちゃいましたね。単に言うのが恥ずかしかったのもありますが、自力で合格したいという思いが強かったんです」と行動力と芯の強さをのぞかせる。

■ 「女優を辞めたい」と悩んだ時期も必要だった「強くなった気がします」


 お遊戯会で初めて演技をしたときから変わらない気持ちを持って打ち込んできた女優業。しかし、一時は「辞めたい」と思ったこともあるという。「『青天を衝け』への出演が決まる前、自信がなくなって、『辞めたい』と思うところまでいっちゃったんです。『本当に大丈夫なのか?』って自分の中ですごく葛藤があって。人と比べて、しんどくなってしまったことがありました。そのときは、ある意味ターニングポイントだったかなと思います」と当時を思い返す。

 その葛藤を乗り越えたきっかけは、女優を志していた“昔の自分”だった。「初心に戻るというか、『すごくやりたかった仕事だったな』って思い出したんです。もしオーディションを受けているときの自分が『未来の私が辞めたいと思ってる』って知ったらすごく悲しいだろうなって」。

 過去の自分と向き合った小野は、女優を続ける道を選んだ。「続けていなかったら、『青天を衝け』にも出演できませんでしたし、見られなかった景色もたくさんあります」と話すが、悩んでいた時期をマイナスには捉えていないという。「すごくしんどい時期ではありましたが、そこを乗り越えてちょっとだけ強くなった気がします。自分の中でいろんな発見もありましたし、必要な時期でした」。

 その時期を乗り越えてからは、自分と人をあまり比べなくなったという。「続ける、と覚悟を決めたとき、自分の中の何かが変わったような感じでした。そんなときに『青天を衝け』のお話をいただいたので、すごくうれしかったです」と、作品と出会った喜びをかみしめる。

 そんな小野に目標を聞くと「目標がないんですよ」ときっぱり。「あまり決めたくなくて。どこまで行けるかを楽しみたいです」と自らの可能性を楽しんでいるかのように目を輝かせた。(取材・文:山田果奈映 写真:ヨシダヤスシ)

 大河ドラマ『青天を衝け』は、NHK総合にて毎週日曜20時放送。BSプレミアム、BS4Kにて18時放送。

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