大島優子、『青天を衝け』渋沢栄一の後妻役に胃が痛くなるほどのプレッシャー
ーー千代が亡くなって、栄一は千代のことがまだ心にある中で兼子と結婚をしますが、兼子もとても切ない気持ちを抱えているのでは?と思いました。
大島:渋沢家に兼子が入ってからも、栄一は本当に何度も千代のこと思い出してるんですよね。その姿を見ると、すごく寂しい思いにもなるのですが、でもそれくらい千代は栄一が大事にしていた人ですし、兼子は「千代さんを大事にしている栄一の思いを大事にしよう」と思うんです。
兼子はすごく強くて懐が深い人で、すべてを包み込むような母性みたいなものがあるんだろうな、と思います。良い女性だな、と思いました。
ーー妻としては、兼子は千代よりも長い期間、栄一に寄り添っていましたよね。夫婦の長く寄り添った関係を短期間で演じる上で工夫したことはありますか?
大島:「ここはどのくらいの年齢を重ねているのか」とか、時代のこともあったので「どれくらいの距離感で栄一さんと歩いているのか」とか、逐一監督と話をしていました。
あとは、栄一が愛嬌のあるキャラクターなので「常に心に遊びがある人だな」と思って接している感じを意識していました。栄一が何か一言言うことで、ひとつ動くことで、こちらにもすごく影響があるんです。
栄一さんは人を楽しい方にも大変な方にも振り回す人間だと思うので、自然と心を動かされるような感覚でいることを心がけていました。
ーー終盤からのご出演ですし、時間をかけてゆっくり関係を作り上げていく、という作業とはまた違いますよね。
大島:本当に悩みながらやっていました。「これでいいのかな? 大丈夫かな? 合ってるかな?」みたいに、常に頭を抱えながら演じていましたね。
ーー栄一を演じる吉沢さんとの共演はいかがでしたか?
大島:エネルギーが溢れている方。こっちに与えてくれるエネルギーもそうですし、本人の中に燃えたぎってるエネルギーもすごくある。それを感じるので、だからこそ緊張感も生まれるし「自分ももっとやりたい」「ちゃんと隣にいれるような人でありたい」と思わせてくれる方だと思いました。
ーー改めて、大河ドラマに出演して感じたことを教えてください。
大島:大河ドラマの現場はすごく緊張するんですよね。他にはない緊張です。スタッフさん全員がプロフェッショナルなので、1ミリたりとも気が抜けない緊張感がある。だからこそ楽しいですし、すごくやりがいがあります。
ひとりの人間の心に渦巻いてる感情を表現することは、時代背景やその時代に生きている人のことを想像したり、周りに関係している人たちのすべてを敏感に感じたりしながらやらないといけない。そう思いながら常に演じていました。(取材:文:山田果奈映)
大河ドラマ『青天を衝け』は、NHK総合にて毎週日曜20時、BSプレミアム、BS4Kにて毎週日曜18時放送。