“逆輸入”ディーン・フジオカが見た日本 「日本人は時間に対しての概念がルーズ」
そんなディーンには、ファンが選ぶ「ミステリアスな役が似合う俳優ランキング」(「TVマガ」より)で綾野剛や松田龍平を抑えて1位に輝くなど、自らが放つオーラを含めミステリアスな印象が強い。
この結果を本人にぶつけてみると、「そうですか。おもしろいですね」と多少の興味を示しつつ、「でもヤクザ役が似合うランキング1位とか、忍者役1位とか、流鏑馬が似合う1位とか、なんでもうれしいですよ」と続けながら、「正直、どう見られるかはあまり気にしてないんです」と本音を漏らした。
「たとえばオーストラリアに行ったときに、過去の作品を観てくれていた人に台湾人だと思われていましたし、日本で先輩ミュージシャンの方に“自分たち”と含めていただいたり、今日のように企画・プロデュースとして取材を受けることもあります。ほかにもCOACHのアンバサダーだと思う人もいれば、五代さんだと思っている人もいるだろうし、人によって僕の接地面が違うんです」。ジャンルレスな活躍を続けているディーン。役柄だけでなく、これだけ人によって抱く像が違う人も多くはないだろう。
◆ディーンの自己評価は「常に危機管理をしているタイプ」
ちなみにディーン自身は自らの資質を「常に危機管理をしているタイプ」と断言。そうなる理由があったのか聞くと、「学生時代に、自分が勉強している学校の教室の前で教授が射殺されてしまい、keep outの黄色い線の横を通りながら教室に入ったり」と想像を軽く超える体験がさらりと出てきた。
さらに「人の命は儚(はかな)いこと、民族が滅亡することや一言語、国自体が消えることだってあることを知っている」からこその「危機管理能力」の獲得だという。日本に留まっていては体験できないことを経験してきているディーン。そんなディーンが、日本国内にこそもっと知らしめたいと感じているのが「日本のアクション俳優のすごさ」だ。
「日本のアクションはめちゃくちゃすごいのに、なぜアクション作品が少ないんだろうとずっと疑問だったんです。日本人のアクションコレオグラファーやスタントマンは世界中で重宝されています。そうした人たちを僕も日本の外で見てきました。でも日本では生かされていない。だから、アクションスタントの人に光が当たる作品を作りたいと思ったんです」と本作の立石を生み出したワケに触れた。
「フィルムメーカーとしてもっともっといいものを作りたい」というディーン。そのために「プロジェクトのゼロから1を作れるように」と企画を書きまくっているそう。そこで形になった第1弾が『Pure Japanese』。つまり第2弾、第3弾、それ以上が、ディーンの頭の中では進行中なのだ。八面六臂の活躍を続けるディーン。その勢いはまだまだ加速しそうだ。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)
映画『Pure Japanese』は、1月28日より公開。