たった1秒、スクリーンに映る娘に会うために― チャン・イーモウ最新作『ワン・セカンド』予告
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中国の巨匠チャン・イーモウ監督最新作『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』より、日本版予告編が解禁された。
【動画】『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』日本版予告編
中国を代表する巨匠チャン・イーモウ監督の最新作となる本作は、広大な砂漠を映し出す圧倒的な映像美を背景に、娘への父の想いを描いた感動作。イーモウ監督自身が長年映画化を熱望していた作品であり、その根底にあたたかく流れているのは“映画への愛”。かつて手掛けた名作『初恋のきた道』や『妻への家路』のような、エモーショナルな人間ドラマとなっている。
主人公の逃亡者を演じるのは、ピーター・チャン監督作『最愛の子』や、ジャ・ジャンクー監督作『山河ノスタルジア』などに出演し、主演を務めた2018年公開のダンテ・ラム監督作『オペレーション:レッド・シー』で大スターの仲間入りを果たしたチャン・イー。
逃亡者と出会い奇妙な絆で結ばれていく孤児の少女リウを演じるのは、本作がデビュー作となるフレッシュな若手俳優リウ・ハオツン。彼女は『初恋のきた道』のチャン・ツィイーを彷彿とさせる可憐な美少女で、早くも“イー・モウガール”と呼ばれ国内外から熱い注目を浴びている。
小さな村の映画館を仕切り、人々から尊敬を集める人格者・ファン電影役には、チェン・カイコー監督作『道士下山』や、「中華圏のアカデミー賞」と呼ばれる金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞した『MR.NO PROBLEM』などで知られるファン・ウェイ。時代の波に翻弄されながらも、映画をこよなく愛する魅力的なキャラクターを味わい深く演じてみせた。
1969年、文化大革命まっただ中にある激動の中国。造反派に歯向かい、西北部にある強制労働所送りになった男(チャン・イー)は、妻に愛想を尽かされ離婚。最愛の娘とも親子の縁を切られてしまう。数年後、22号という映画本編の前に流れるニュースフィルムに、娘の姿が1秒だけ映っているとの手紙を受け取った男は、一目娘の姿を見たいと強制労働所から脱走する。
逃亡者となりながらも、22号のフィルムを血眼になって探し続ける男は、映画が上映される予定の小さな村の映画館を目指す。そんな中、フィルムを村まで運ぶ途中の隙を突いて、素早く1缶を盗み出す子供を目撃。ボロボロの格好をした小汚い少年だと思ったその子供は、孤児の少女リウ(リウ・ハオツン)だった…。
日本版予告編は、「映画を愛する全ての人に捧げる作品だ」というイーモウ監督の言葉から始まり、「映画は終わったのか?次はどこで観れる?」と尋ね、慌てて広大な砂漠の中を黙々と進む男の姿へと続く。彼がたどり着いた村では、村人が総出で映画が来るのを心待ちにしており、「映画の上映は、この辺りじゃ一大事だ。数ヵ月に一度の夜を、皆心待ちにしてる。まるで正月のようにな」と映画館の責任者ファンが語る。
しかし運搬途中の不手際で膨大な量のフィルムがむき出しで地面にばらまかれ、汚れてしまい上映不可能な状態になってしまう。その傍らで「俺の娘が出てる」と22号のニュースフィルムの缶を手に取る男。彼はそこに1秒映っているという娘の姿を見るため、収容所から逃亡した囚人だった。一方、男はそのフィルム缶を盗もうとした小汚い子供を捕まえる。名を問うが「ないよ。親がいないから」と答える少女。彼女は幼い弟との貧しい暮らしを懸命に生き抜こうとしていたのだった。
そしてファン電影は、男や村人と共にフィルムを手洗いで洗浄し、上映にむけて奔走する。果たして男は、娘の姿をこの目で確かめることができるのか。文化大革命の混沌とした時代にあった中国で、映画に熱狂する市井の人々、そしてフィルムを巡る様々な思いが情感たっぷりに描かれ、感動のドラマを予感させる予告編となっている。
映画『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』は、5月20日より全国公開。