『犬王』湯浅監督、松本大洋にラブコール アングレーム漫画祭で『花男』アニメ化熱望
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アングレーム国際漫画祭『犬王』トークイベントの様子
子供の頃は『アストロ球団』『聖ロザリンド』、そして姉の少女漫画を読んでいたという湯浅監督。原作をアニメ化した時に付いて回るのが原作ファンの感覚だが、「『ここは違う』『ここは同じ』と感じることがある部分」が楽しみだという。「小説や漫画を読む本質というのは、描かれているその文字や絵そのものじゃなく、読んだ人の中にあると思うんです。原作をアニメ化するときには、そこに描かれている文字や絵をそのまま拾うのではなく、読んだ人の感覚を映像にしたいと思っています」
過去作では大ヒットした『ピンポン THE ANIMATION』が印象的だが、「作品が完成されすぎているからこそ難しかった」と吐露。アニメ制作については「漫画を意識しすぎないに気を付けていました。松本さんが当初漫画にとある女の子を出すつもりだったと聞いて、アニメではあったかもしれないストーリーとして登場させました。漫画とアニメの一番の違いは、漫画がコマが大きかったり小さかったり色んな方向を向いていたりするのに対して、アニメの場合はフレームやバンドが決まっている点です。できるだけ松本さんのコマを生かしながらアニメでも表現するように努力しました」と語る。
アングレーム国際漫画祭『犬王』アート展の様子
これまでアニメ化した原作について、湯浅監督は「たまたま僕がアニメ化している原作の漫画家さんはまかせてくれる方が多く、有難いと思っています。漫画を読んで分からない部分で、原作の意図知りたいときは、聞いたりしていました」と話す。また、「これまであまりがっつりと原作者の方と一緒になってアニメを制作したことはないですが、今後チャンスがあれば松本大洋さんとガッツリ一緒に制作してみたいですね」と熱烈なラブコールを送る一幕も。
最近読んだ漫画では『銀河の死なない子供たちへ』や『タコピーの原罪』が面白かったという。アニメ化したい作品については、「松本さんの『花男』が大好きなのでアニメ化してみたいですね。他には、アニメ『平家物語』のキャラクター原案を担当されている高野文子さんのファンで、『るきさん』や『棒がいっぽん』もアニメ化してみたいです。諸星大二郎さんの『暗黒神話』もやってみたいです」と明かした。
映画『犬王』は5月28日より全国公開。