父、母、瀬戸内寂聴がモデルの小説『あちらにいる鬼』、寺島しのぶ、豊川悦司、広末涼子で映画化
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作家・井上荒野の小説『あちらにいる鬼』を映画化、女優の寺島しのぶと俳優の豊川悦司がダブル主演を務め、女優の広末涼子が共演することが発表された。また公開時期は11月と決まった。
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原作は、井上が父である作家・井上光晴と母、そして昨年11月死去した作家・瀬戸内寂聴をモデルに創作した同名小説。井上にとって最も身近な人々である父母と、光晴と長年にわたり男女の仲だった寂聴の関係をモデルに、2人の女性の視点から、彼女たちの長きにわたる関係と心模様の変化を深く掘り下げた。映画化されることを生前に聞いた寂聴は、とても楽しみにしていたという。
寺島が演じるのは、寂聴をモデルにした人気作家・長内みはる。豊川が演じるのは井上光晴をモデルとした作家・白木篤郎。広末が篤郎の妻・笙子を演じる。監督は廣木隆一、脚本は荒井晴彦。
人気作家の長内みはる(寺島)は、講演旅行をきっかけに戦後派を代表する作家・白木篤郎(豊川)と男女の関係になる。一方、白木の妻である笙子(広末)は、夫の手あたり次第とも言える女性との関係を黙認、夫婦として平穏な生活を保っていた。だが、みはるにとって白木は肉体の関係だけに終わらず、書くことによるつながりを深めることで、かけがえのない存在となっていく。2人の間を行き来する白木だが、度を越した女性との交わりは止まることがない。白木を通じて響き合う2人は、どこにたどりつくのか―。
寺島は「何度も撮影が延長され半ば諦めかけていたのですが、やっとインできそうです。そうこうしているうちに私の歳も寂聴さんが得度式をされた歳と同じになりました」と感慨深げ。「井上荒野様からも心強いお手紙をいただきました。これを宝物に最も信頼している荒井晴彦さんや廣木監督とまた作品作りができること、豊川さんとまたお芝居できることに胸が弾み広末さんとも不思議な関係性が築けそうです。今から崖の下をチラチラ見ては躊躇して、いずれ捨て身で飛び込もうとしている自分を鼓舞している毎日です」とコメント。
豊川は「男にも女にも家庭があって、それでも磁石のように惹きつけあって、どうしようもなく、あがくすべもなく、ただ相手を見据えて、しがみついていく二人。しがみつく二人にしがみつく家族。スキャンダルという理由は、彼らが文化人であったというだけのこと。寺島しのぶと、男と女、それだけを演じてみたい」としている。
広末は「とても大人な台本に、果たして私がついて行けるか? 未だ不安なまま撮影開始となりそうですが、間違いなく魅力的な寺島さんと豊川さんの御姿がおのずと私をも導いてくださる予感がしております。撮影の日を楽しみに精一杯頑張ります。よろしくお願いいたします」とコメント。
廣木監督は「物語を語ることでしか存在できない男を巡って女は現実を生きる。いや男と女と言うよりも同じ時間を過ごした大人たちのラブストーリーを、このキャストで演出することに何か不思議な感じがしてワクワクします。どこまでが虚でどこまでが創作なのか。原作者の目を通して描いた彼らの関係を映画化できることに感謝します。ぜひ鬼の正体を劇場で確認して下さい」と話す。
映画『あちらにいる鬼』は11月全国公開。