吉田羊×大原櫻子『ザ・ウェルキン』開幕「役やシーンがどんどん深化していく様に心震える日々」
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女優の吉田羊と大原櫻子が共演し、日本初上演される舞台『ザ・ウェルキン』の東京公演が、7月7日開幕。舞台写真や吉田と大原からのメッセージが解禁された。
【写真】初日を迎えた『ザ・ウェルキン』舞台写真
本作は、世界がまだ深刻なコロナ禍に見舞われる直前の2020年1月下旬に英国ナショナルシアターで開幕。英国で最も注目を集める新進劇作家の新作として大きな注目を集め、そのスリリングなストーリー展開と女優陣の白熱した演技が大絶賛を浴びた。しかし、コロナによるロックダウンで2ヵ月にも満たない上演で全公演が中止に。惜しまれながら閉幕したものの、今でも英国での再演が期待されている人気作だ。
タイトル「ザ・ウェルキン The Welkin」は、英語の古語で「天空」を意味する。神の使いなのか、科学の予見なのか、75年ぶりに「天空」に舞い戻る大彗星を待つ18世紀半ばの英国辺境地を舞台に、絞首刑を宣告された一人の少女の真実を巡る物語が、パワフルなキャスト陣と演出・加藤拓也の手により、サスペンスフルに展開していく。
1759年、英国東部サフォークの田舎町。人々が75年に一度天空に舞い戻ってくるという彗星を待ちわびる中、一人の少女サリー(大原)が殺人罪で絞首刑を宣告される。しかし、彼女は妊娠を主張。妊娠している罪人は死刑だけは免れることができるのだ。その真偽を判定するため、妊娠経験のある12人の女性たちが陪審員として集められた。その中に、なんとかサリーに公正な扱いを受けさせようと心を砕く助産婦エリザベス(吉田)の姿があった。果たして、サリーは本当に妊娠しているのか? それとも死刑から逃れようとうそをついているのか?なぜエリザベスは、殺人犯サリーを助けようとしているのか…。法廷の外では、血に飢えた暴徒が処刑を求める雄叫びを上げ、そして…。
吉田羊は「稽古を積み上げるごとに新たな発見があり、役やシーンがどんどん深化していく様に心震える日々でした。小さな陪審員室は社会の縮図さながら。人や立場、境遇を変えれば男女皆等しく時代を超えて当てはまる構図に唸ったのは一度や二度じゃありません。そして、嘘とまこと、現実と妄想の向こうに透けて見えたのは今を精一杯生き、幸せを掴もうとする人々の姿でした。物語後半、ある陪審員が言います。『一日家を空けるってなんて楽しいのかしら』。どうぞ日常をしばし忘れ、彼女たちと一緒に心を解放し、観劇後、ああでもないこうでもないと議論を交わして頂けたら幸いです」とメッセージを寄せた。
大原櫻子は「男女差別、女性の身体ゆえの生理、妊娠、そして生と死、親と子、愛、、とても多くのテーマを孕んだこの作品への挑戦は、とても高い壁でした。スパルタ演出家、加藤拓也さんを筆頭に、約1ヶ月半、とても丁寧な稽古を重ねてきました。サリーは囚人なので、陪審員にとっては“敵”のような存在ですが、実際演じる役者の私達は、手と手を取り合って、阿吽の呼吸を大切にしてきました。今の時代にこの作品を届ける意味を、常に自分の心に握りしめ、本番に臨んでいきたいと思います」としている。
シス・カンパニー公演 『ザ・ウェルキン』 は、東京・Bunkamuraシアターコクーンにて7月7~31日、大阪・森ノ宮ピロティホールにて8月3~7日上演。