北野武監督『首』、カンヌ・プレミア公式上映が5.23に決定 プロモーション映像も解禁に
第76回カンヌ国際映画祭 「カンヌ・プレミア」部門に正式出品される北野武監督最新作『首』の公式上映日が、現地時間5月23日に決定。併せて、カンヌ国際映画祭用に制作されたプロモーション映像が解禁された。
【動画】北野武作品史上随一のスケールと迫力! 『首』プロモーション映像
1997年に『HANA-BI』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、2003年に『座頭市』で銀獅子賞を受賞、2017年に『アウトレイジ 最終章』が同映画祭のクロージング作品に選ばれるなど、数々の歴史的快挙を達成してきた映画監督・北野武。
本作は、そんな北野監督が、初期の代表作の1本『ソナチネ』と同時期に構想し、30年もの長きに渡って温め続けていた戦国スペクタクル映画。巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた念願の企画の映画化だ。“本能寺の変”が、戦国武将や忍、芸人や百姓といった多彩な人物の野望や裏切り、運命とともに描かれ、キレ味抜群のバイオレンスと笑いをはじめとした北野ワールドのエッセンスが全開する。
この野心作に、豪華&異色のキャストが集結。北野武自らが“本能寺の変”を策略する羽柴秀吉を飄々(ひょうひょう)と演じ、織田信長に複雑な感情を抱く明智光秀を西島秀俊が演じる。加瀬亮が狂乱の天下人・織田信長を怪演し、浅野忠信と大森南朋も秀吉を支える軍師・黒田官兵衛と弟の羽柴秀長をユーモアたっぷりに演じ切る。さらに、中村獅童が秀吉に憧れる百姓・難波茂助を演じ北野組に初参戦を果たす。そのほか、木村祐一、遠藤憲一、桐谷健太、小林薫、岸部一徳らが歴史上の重要人物に独自のキャラクターでなりきっている。
このたび、第76回カンヌ国際映画祭「カンヌ・プレミア」部門への出品作である本作の公式上映日が、現地時間5月23日に決定。世界最速ワールドプレミアとして上映される会場に、北野監督も登壇する運びとなった。
なお「カンヌ・プレミア」は、コンペの枠では賄いきれない作品のプレゼンテーション(提供)を目的に、2021年に設立されたセクション。コンペに選定されなかった作品が「ある視点」部門(世界の歴史・民族・風土・生活習慣・信仰など現代社会を取り巻くテーマを描く作品が選ばれる部門)に選定されることもあり、この「カンヌ・プレミア」部門も「ある視点」部門に近い位置づけとの見方もあったが、映画祭ディレクターのティモリ―・フレモー氏は「ある視点」部門のテーマをより明確にする意味でも、「カンヌ・プレミア」部門が設立されたと語っている。『首』は、日本の実写作品としては初の選出となる。
公式上映日決定と併せて、カンヌ国際映画祭用に制作したプロモーション映像が解禁。不安げなピアノの旋律と共に、野ざらしにされた屍があまた転がっている戦場の様子が俯瞰で映し出されるところから始まる。血肉飛び散る“山崎の戦い”、燃え上がる本能寺…北野武作品史上随一のスケールと迫力が存分に味わえる映像となっている。
映像にはさらに、秀吉(ビートたけし)、光秀(西島秀俊)、信長(加瀬亮)、難波茂助(中村獅童)、黒田官兵衛(浅野忠信)、羽柴秀長(大森南朋)、曽呂利新左衛門(木村祐一)、荒木村重(遠藤憲一)、徳川家康(小林薫)、千利休(岸部一徳)…と、日本映画界を支える錚々たる俳優陣が画圧高めに登場。新北野組とも言える一流の俳優陣による演技合戦にも期待が高まる。
先月行われた完成報告会見で、北野監督が「日本の戦国時代を美化することなく、成り上がりや天下を取ることの裏にある人間の業や恨み、つらみなどを自分なりの解釈として描いた」と語っていた本作。5月23日の「カンヌ・プレミア」での公式上映で、その全貌がついに明らかになる。
映画『首』は、2023年秋より全国公開。