「危険ですよこの映画は」中村獅童、“挑戦的”北野武監督作『Broken Rage』を語る!

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2月14日配信開始となるAmazon Original映画『Broken Rage』(Prime Video)に出演している中村獅童がインタビューに応じ、本作における挑戦や、コメディータッチで描かれたパロディーパートでの難しさなどを語った。
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「暴力映画におけるお笑い」をテーマとし、日本の配信映画として初めてベネチア国際映画祭に正式出品され高い評価を受けた本作は、北野監督が映画の常識を覆すべく手掛けた作品。
約60分の本作の前半では、警察にとらわれた“すご腕”殺し屋・ねずみ(ビートたけし)が、釈放を条件に刑事・井上(浅野忠信)と福田(大森南朋)と手を組み、覆面捜査官として裏社会に潜入する骨太のクライムアクションを描き、後半は前半と同じ物語がセルフパロディーという手法を使ってコメディータッチで描かれる。
――本作について教えて下さい。
中村:作品のテンポの速さが僕の目には本当に全く今までにはなかった新しいものに映りました。北野監督は浅草での芸人の下積み時代に、非常に長くご苦労もなさっています。役者も苦労は買ってでもしろって言われるぐらいな世界でございますから、非常に尊敬していますし、芸人ビートたけしへのリスペクトというのも当然あります。
若い方たちにとっても、今回の企画はすごくいいなと思います。今の時代に合っています。若い方たちはスマホで映画を見たりとか、映画を2倍速で見る子たちも多い。時代がガラッと変わっていて、もちろん映画館でゆっくり見るっていうことも一つの醍醐味です。歌舞伎はもっともっと長い時間のものもたくさんございますから、そういったものをいかに丁寧に伝えていくかというのは我々の仕事でもあります。本作のように尺が短くて、なおかつテンポが良い作品は若い方たちにも見やすい。そういう作品があるというのは、やっぱり今の時代にとってもいいんじゃないかなって思います。北野監督はあのお年になっても時代の流れであったりとか、今世の中がどういうものを求めていて、昭和から平成、令和と時代がどういう風に変わっていったかということを敏感に察知されていると思います。
――この作品でどういう挑戦をされたと実感しましたでしょうか?
中村:まずAパートとBパートが合わさって一つの作品になっています。パロディパートはBパートということになってくるのですが、何か他の作品をパロディ化して自分たちの作品に取り入れるということは、今までも多々ありました。僕らも映画館で見ると「ああ、これは何々の映画のオマージュだな」とか「あ、パロってるな」っていうのを感じて、くすっと笑ったりする。この映画に関しては、よその作品をパロディ化するのではなく自分たちの作品をパロディ化して笑わせるという作品です。そこが今までになかった挑戦なのかなと思います。
北野監督という方は自分たちがそれまで見ていた映画のセリフの分量を変えました。極力そのセリフがないわけです。その中でも、多くのことが伝わってくるので、北野監督に対して当時「斬新だな」という想いを抱きました。『その男、凶暴につき』だったり、数々の作品がございますけれども、セリフを極力少なくして、嘘っぽくならないようにリアルに描くというのは、きっと時代が求めていたと思います。セリフを少なくして、その世界観を伝えていくという手法は僕らの目に斬新に映りました。
それと同時に僕は歌舞伎役者ですが、映画の世界でいつかは北野監督に呼んでいただけるような役者になりたいとずっと思っていました。20代の頃、まだまだ無名の時代がございまして、世の中にちょっと名前を知っていただけるようになり、映像の仕事をたくさんやらせていただけるようになったのが、39歳くらいの時からですかね。北野監督に対しては、自分が17、8ぐらいの高校生くらいの時代からずっと憧れです。
――監督は『ピンポン』もご覧になったとおっしゃっていました。
中村:公開が2002年でしたので、20年以上前の作品をよく覚えていてくださっていて、うれしいです。