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山田杏奈・永瀬正敏らが遠野弁を話す『山女』本編映像公開「あの時代のあの世界に生きている子だという自覚も芽生えた」

映画

 福永壮志監督による映画『山女』より、山田杏奈と永瀬正敏が本作の舞台となる岩手県遠野市の方言を話す本編映像が解禁された。

【動画】山田杏奈・永瀬正敏の遠野弁に注目 『山女』本編映像

 本作は、柳田國男の名著『遠野物語』から着想を得たオリジナルストーリー。監督・脚本は、『リベリアの白い血』『アイヌモシリ』で民族やルーツに焦点を当ててきた福永壮志。共同脚本に連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合/毎週月曜〜土曜8時ほか)の長田育恵を迎え、現代につながる社会の歪みとそこに生きる人々の物語を作り上げた。

 大飢きんに襲われた18世紀後半の東北の村。先代の罪を負った家の娘・凛は、人々からさげすまされながらもたくましく生きている。ある日、飢えに耐えかねた父の伊兵衛が盗みを働いてしまう。父の罪を被った凛は自ら村を去り、禁じられた山奥へと足を踏み入れ、伝説の存在として恐れられる“山男”と出会う…。

 主人公の凛を演じるのは、『樹海村』『ひらいて』『彼女が好きなものは』など出演作が相次ぐ山田杏奈。過酷な運命に翻弄されながらも、たくましくひたむきに生きる姿を等身大で体現した。また、伝説の存在として村人たちから恐れられる“山男”を森山未來、生活に苦悩する凛の父親・伊兵衛を永瀬正敏が演じる。

 解禁されたのは、父親の伊兵衛(永瀬)が寝静まった夜、凛と弟の庄吉(込江大牙)が、囲炉裏のわずかな火を頼りに草鞋を編む日常を捉えた本編映像。先代の罪を背負い、卑しい身分に貶められている凛の一家は、間引きされる赤ん坊を川に捨てる役目や、死体の埋葬の仕事を引き受け、家では草鞋編みの内職を行い、せめてもの食い扶持を稼いでいる。

 庄吉は、家の前に落ちてきた雀の雛を埋めたと話し、「その時思ったった、こいづはこれで終わりなんだべかどて。早池峰山さ行がねぇのがな?」と訊く。凛は「あそごさ行くのは人間の魂だけだ」と答える。

 さらに庄吉が「人間なら、みんな行けるのが?」と尋ねると、凛は「罪人も善人も、貧乏人も金持ちもみんなだ。早池峰の女神様は誰だって迎えでくれんだもの」と語る。凛の穏やかな表情から、理不尽な逆境の中でも早池峰山を心の拠り所として、ひたむきに一家を支えてきたことが窺える。

 これらのセリフは、本作の舞台となる岩手県遠野市の方言である遠野弁だ。脚本の段階からセリフを遠野弁にした福永監督は、「遠野弁の方言のセリフを方言の先生に発音してもらったものを録音して、俳優の皆さんと共有して、撮影前にしっかり準備してもらいました」と振り返る。

 さらに「やはり昔の話なので、どうしてもフィクション色は強くなるんです。それでもできるだけリアリティを持たせたくて、昔話されていた言葉により近い方言を生かすことで、少しでも現代との差を埋めようとしました」と続け、遠野弁が作品の世界観の重要な要素であることを語った。

 これに対し山田は「遠野弁のセリフを話すことで、あの時代のあの世界に生きている子だという自覚も芽生えました」と語り、遠野弁が役へのアプローチにも繋がっていたことを明かしている。山田は家で実際に草履を編む練習を重ね、余念がない準備で撮影に臨んだという。

 映画『山女』は、6月30日より全国順次公開。

映画『山女』本編映像

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