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『キンバリー・アキンボ』が5冠! 第76回トニー賞、ストライキで異例の台本無し授賞式に

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『第76回トニー賞授賞式』ミュージカル主演女優賞・ヴィクトリア・クラーク『キンバリー・アキンボ』
『第76回トニー賞授賞式』ミュージカル主演女優賞・ヴィクトリア・クラーク『キンバリー・アキンボ』写真:AP/アフロ

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 アメリカ演劇界で最も権威のあるアワードとして知られる「第76回トニー賞授賞式」が、日本時間の6月12日に開催。世界のトップスターたちの歌とダンスのパフォーマンスを含め、華やかな授賞式の模様がWOWOWにて生中継された。

【写真】5冠達成! トニー賞での『キンバリー・アキンボ』パフォーマンスの様子

 ミュージカル部門では、常人の数倍の早さで老いていく16歳になる女子高生を描いた『キンバリー・アキンボ』がミュージカル作品賞、ミュージカル主演女優賞(ヴィクトリア・クラーク)、ミュージカル助演女優賞(ボニー・ミリガン)など最多5冠を獲得。最多12部門13ノミネートの『お熱いのがお好き』は、ミュージカル主演男優賞(J・ハリソン・ジー)など4冠で続いた。

 演劇部門ではトム・ストッパード作、ユダヤ人一族の4世代にわたる物語を描いた『レオポルトシュタット』が演劇作品賞、演劇演出賞、演劇助演男優賞(ブランドン・ウラノヴィッツ)、衣装デザイン賞(ブリジット・ライフェンシュトゥール)の4冠に輝いた。なお、ストッパードの作品が作品賞に輝くのは5度目となり、85歳にて自らのもつ最多記録を更新し、壇上で喜びのコメントをした。

 演劇主演女優賞はドラマ 『キリング・イヴ/Killing Eve』や映画『最後の決闘裁判』のジョディ・カマーがひとり舞台の『プライマ・フェイシィ』でブロードウェイデビューにして見事授賞。法律と社会が抱える矛盾に直面する若き弁護士を演じ、オスカー女優のジェシカ・チャステインを退けた。

 そしてJ・ハリソン・ジー(『お熱いのがお好き』)とアレックス・ニューウェル(『シャックト』)が、性自認を明言していないノンバイナリーを公言している俳優として初めてノミネートされていたが、それぞれジーがミュージカル主演男優賞、ニューウェルがミュージカル助演男優賞に輝き歴史的な回となった。

 鮮やかな青いドレスで登壇したジーはトロフィーを手に「“見られてはいけない”と言われてきたみなさん、これはあなたたちへの贈り物です」とマイノリティのコミュニティに向け呼びかけた。ニューウェルも「私は、ノンバイナリーの、太ったマサチューセッツ出身の人間としてここにいます。『無理だ』と思うみなさんに目を見て伝えたいと思います。心を込めれば何でもできます!」と力強く呼びかけ、喝采を浴びた。

 今年は全米脚本家組合(WGA)によるストライキが行なわれていることを受け、ショーを支える脚本家への敬意を表する形で、授賞式は台本なしという異例の形式で進行した。昨年に続き、アリアナ・デボーズが司会を務めたが、オープニングの映像では、台本を開いたアリアナが、その中身が白紙であることに呆然とするという演出で始まり、1930年代に建てられた絢爛豪華なユナイテッド・パレスを存分に使ったオープニング・パフォーマンスは音楽とダンスのみでセリフや歌詞は一切なし。それでもアリアナらが圧巻のパフォーマンスを見せ、会場はスタンディングオベーションで称えた。

 また、功労賞は『ニューヨーク・ニューヨーク』『キャバレー』『シカゴ』など数々の傑作で知られる作曲家ジョン・カンダー、そして『キャバレー』のMC役で舞台ではトニー賞、映画ではオスカーを受賞した俳優ジョエル・グレイが受賞。96歳と91歳のふたりが健在な姿を見せ、アリアナ・デボーズとジュリアン・ハフが『シカゴ』の“Hot Honey Rag”の華麗なパフォーマンスで祝福した。

 台本がないことで今年はノミネート作品以外のパフォーマンスも多く、歌手ニール・ダイアモンドの伝記的ミュージカル『ビューティフル・ノイズ』から大ヒットナンバー“Sweet Caroline”が披露され会場が一丸となり大合唱。リン=マニュエル・ミランダがノリノリで歌う姿も印象的だった。そしてリア・ミシェルは『ファニー・ガール』から“Don't Rain on My Parade”を熱唱。名古屋市出身の岩井麻純、ハワイ出身のキャンディス・ハタケヤマもパフォーマンスを行った。

 日本のスタジオは昨年に続き、井上芳雄、宮澤エマがナビゲーターを務め、スタジオゲストとして俳優の市村正親、平方元基、三浦宏規、影山雄成(演劇ジャーナリスト)、柏木しょうこ(映像翻訳者)が出演。オープニングでは井上と宮澤がスタジオで「New York, New York」を生で熱唱し、三浦がダンスパフォーマンスを披露。授賞式終了後のスタジオでは、平方がミュージカル『生きる』より、自身が演じる小説家の楽曲「⼈⽣の主⼈になれ」をスタジオで生歌唱した。

 『第76回トニー賞授賞式』[字幕版]は、WOWOWライブ、WOWOWオンデマンドにて6月17日21時より放送・配信。『第76回トニー賞授賞式』[同時通訳]、『第76回トニー賞授賞式プレショー』[同時通訳]は、WOWOWオンデマンドにて配信中。

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