大竹しのぶ、21年ぶりの一人芝居『ヴィクトリア』開幕「深くて、謎があって、哀しくて、とても美しいのです」

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大竹しのぶの一人芝居『ヴィクトリア』の東京公演が、本日6月24日、スパイラルホールにて開幕するのを前に、前日行われたゲネプロの舞台写真と大竹のメッセージが公開された。
【写真】21年ぶり2度目の一人舞台で、ヴィクトリア役に体当たりする大竹しのぶ
本作は、映画界の巨匠イングマール・ベルイマンが、当初、映画脚本として執筆。その後、あえてラジオドラマとして発表した異色の一人芝居。大竹が一人芝居に挑むのは、2002年上演の『売り言葉』(野田秀樹作・演出)以来21年ぶり、2度目となる。
「ベッドから出たくない…」。ある朝、目覚めたヴィクトリアはつぶやいた。カーテンの隙間からこぼれる光がまぶしくて、頭痛がひどくなってきた。そして、彼女の口からは、とめどなく言葉があふれ出る。でも、彼女が今、語りかけているのは誰なのだろう? 使用人なのか? 自分に無関心な夫なのか? それとも孤独を抱えた自分自身なのか? それに彼女は何処にいるのだろう? 自分の部屋? 人混みの中? 旅の途中? その答えはすべて、心に不思議な世界を秘めたヴィクトリアの独白の中にある…。
主人公ヴィクトリアが自分自身の魂と向き合うかのように語る独白を、過去と現在、幻想と現実が融合したかのようなタッチで描いたベルイマン独自の世界。大竹と演出・藤田俊太郎が導くのは、色あせた夢への執着なのか、真実への心の旅路なのか…。
大竹は「最初に台本を読んだ時、ベルイマンが描いた緻密で繊細な世界がとても魅力的で、『これは面白そう!やりたい!」と思ったんです。が、すぐ『あ、これを全部一人でやるんだ…一人芝居なんだ・・』という現実に改めて気づき、どうしよう…と(笑)。この作品は、ヴィクトリアという孤独な女性の脳内をグルグル旅しているかのような劇構造で、孤独な少女時代、夫の裏切り、夢の中、パーティー、一瞬にして変わる場面、場面を衣装も装置も変わらず私の声、表情だけで表すのはとても難しいことですが、だからこそやり甲斐があります。言葉で観客にイメージを渡す。それこそが、演劇の魅力です。しかも、ベルイマンの世界!深くて、謎があって、哀しくて、とても美しいのです。それが伝えられるよう、頑張ります」とのメッセージを寄せた。
シス・カンパニー公演『ヴィクトリア』は、東京・スパイラルホールにて6月24~30日、西宮・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて7月5・6日、京都・京都芸術劇場 春秋座にて7月8・9日、豊橋・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて7月11日上演。